ブック・レビュー 今、世界中のクリスチャンがともに抱く決意がここに!

 『ケープタウン決意表明』
岡山英雄
日本福音キリスト連合 東松山福音教会牧師

第三回ローザンヌ世界宣教会議は、百九十八か国から四千二百名が参加し、南アフリカのケープタウンで二〇一〇年十月に開かれた。本書は、その会議で採択された「決意表明」の翻訳である。第一部の信仰告白は「神がまず私たちを愛してくださった」で始まり、その後はすべての項目が「私たちは―を愛する」として、「生ける神、父なる神、子なる神、聖霊なる神、神の言葉、神の世界、神の福音、神の民、神の宣教」への愛が告白される。
第二部は「行動への呼びかけ」であり、六つの重要課題が取り上げられる。A(多元主義の中で)キリストの真理を証しする、B(分断された世界で)キリストの平和を築く、C(他の信仰を持つ人々の中で)キリストの愛を生きる、D(世界宣教のために)キリストのみこころを見分ける、E教会を謙遜と誠実と質素へ、F(一体性を目指す)教会の協力、である。これらは現代世界において教会が直面している問題をほぼ網羅しており、それに対し、神の愛を実現するために取り組んでゆく決意が表明されている。
一九七四年にスイスで開かれた第一回会議から三十六年、世界のクリスチャンの三分の二以上が非欧米諸国に住んでいるという現実の中、南アフリカで開かれた会議は、それゆえの独自性が示されている。その一つは過去の教会のあり方に対する率直な反省である。特に、E「キリストの教会を謙遜と誠実と質素へと呼び戻す」においてそれは顕著であり、権力・成功・貪欲に対する「偶像礼拝を捨て去りなさい」と宣言する。「『成功』と『結果』を渇望するあまりに、私たちは誠実さを犠牲」(八二頁)にしたことを反省し、健康や富という物理的な祝福のみを強調する「繁栄の福音は偽りの福音である」(八五頁)と断言する。そのほかにも「宣教」は「浅ましい改宗行為」(六一頁)ではなく、敬意をもって働きがなされるよう求めている。「今後十年間のローザンヌ運動のロードマップとして機能する」(六頁)というこの「ケープタウン決意表明」を学び、実践することによって、キリストの教会は神の愛をこの世において明らかにしていくことができるだろう。