ブック・レビュー 増補改訂版
『教える喜びと学ぶ喜び』
唄野 隆
KGK協力主事
潤いのある豊かな信仰生活のために
朴永基先生の『教える喜びと学ぶ喜び』の増補改訂版が出版された。聖書を学び教えることは、クリスチャンの信仰の成長のためにも、また伝道のためにも、基本である。一人での聖書の学びは信仰理解の骨格を与えるが、交わりの中での学びは豊かな血肉を与える。そこに小グループでの聖書の学びのテキストとしての本書の意義がある。小グループの学びでは、上から教えるというよりグループの中に入って、共に学ぶ姿勢でリードする人の役割が大きいが、本書では、リーダーの備えについても良い指導がなされている。本書の内容は、神と人を知る喜び、みことばと教会を知る喜び、神にささげる喜び、交わりと社会生活の喜び、患難の奥義を知る喜び、の五つの大項目の下に、第1課「創造主である神」、第2課「救い主であるイエス・キリスト」というような中項目が20課まであり、その中項目それぞれがまた五つか六つの小項目に分けられ、それぞれの小項目は教理的に整理された見出しの下に、その見出しに対する説明や解答を示す聖書のことばを集めている。ところどころ、短い質問が設けられ、聖書のことばを考えながら読む助けになる。
本書を、そこに集められている聖書のことばひとつひとつについて、皆で語らいつつ学んでいけば、信仰の確かな土台が据えられ、信仰生活が豊かにされるだろう。それぞれのテーマについての説明はあるが、聖書のことばについての説明はない。読み物としてよりも、小グループでの学びのテキストとして用いられることを目指しているからだろう。適切なリーダーが立てられ、楽しい交わりと控えめな助言が与えられれば、どんなに豊かな学びとなるだろうか。
本書の学びは信仰の知的土台を据え、信仰生活に実践的指針を与えるには有効だが、その学びと並行して、主の前に静まり、みことばに基づく瞑想の訓練が得られれば、学ぶ者のクリスチャンライフは、さらに豊かな潤いのあるものとなっていくように思う。