ブック・レビュー 夫婦ともに学ぶことができる
『痛おもしろ結婚塾―相手がわかる! 自分が見える?』
水谷 潔 著
B6判 1,000円+税
いのちのことば社
結婚、子育て、家庭形成について教会や教育機関で講演している著者。「痛おもしろい」というコンセプトのもと、夫婦の「誤解、不可解、行き違い」について、またその改善策について語られた一冊です。結婚を願っている方や結婚前のカップルはもちろん、すでに結婚生活に入ったもののあきらめの境地に入っている夫婦も、一読して「入塾」してみたなら、結婚生活への理解が深まることでしょう。
第一部「残念な夫にならないために」、第二部「妻へのチャレンジ」、第三部「つまづいても、歩み続けるために」、第四部「違いに向き合い、互いに成長」と、夫側妻側両方のアプローチがなされているので、夫婦ともに学ぶことができます。著者が何より願っているのは、「この話は主人に聞かせてやりたい」とか、「妻が変わってくれたらいいのに」などと、相手が変われば改善するだろうと思う心の持ち方を変えることではないでしょうか。読み進めているうちに、相手が変わることへの期待ではなく、まず自分が変わることで、夫婦関係が良好になるということの気づきを与えられると思います。ですから、自らを省みる「痛い」部分もあるのですが、著者の軽妙な語り口と「おもしろ」例話などが緩衝剤となって、「痛い」だけの読後感ではありません。
私が最も教えられたのは、愛の本質についてです。「コリント人への手紙第一、一三章によれば、愛の本質の第一は『寛容』です。これは『遅く怒る』という意味だそうです。……簡単に怒って相手の信仰を責め、信仰上の欠点を理由に相手を受け入れようとしないなら、それこそ、信仰上の課題です。先に自分自身の課題を解決してから、相手の課題を考えたほうが、夫婦のためでしょう」(一○一頁)。
信仰のことで夫を責めることはほとんどありませんが、早く怒るのが得意な私は「寛容」な妻になりたいと、心から思いました。