ブック・レビュー 洗礼や、信仰告白の準備のために


吉田隆
日本キリスト改革派・仙台教会牧師

キュウリとキョウリ(教理)は、似ていますが違います。キュウリは生でも食べられますが、キョウリは生では食べられません! キョウリから、豊かな養いを得るためには、ふさわしい手引きが必要なのです。
今年こそしっかり聖書教理を学ぼうと考えている皆様のために、良い手引書が出版されました。
本書は、洗礼(または幼児洗礼)を受けた方の信仰告白の準備会用に書かれたもので、全体が序章を含めて八章一七〇頁からなっており、毎週一回、二か月から四か月で学べるようにデザインされています。
著者のカミングス師は、メイチェン、ヴァンティル、マーレーといった錚々たる神学者たちを擁したウェストミンスター神学校で学び、メイチェンらによって創立された正統長老教会第一回大会で按手を受けて牧師になった方です。お名前からして〝カルヴィン〟に、ミドルネームが長老主義教会の祖とも言うべき〝ノックス〟ですから、これ以上に〝正統的〟な名前もないでしょう。
けれども本書のすばらしさは、そのような著者の名前や肩書きにあるのではありません。五十年ほど前に出版されたにもかかわらず、何度も版を重ねて用いられ、このたびは著者の三人の御子息による全面改定版で再版されるほどの卓越した構成と確かな内容にあるのです。
本書を貫いている主題は「信仰を告白すること」。
告白の土台としての聖書(第一章)、対象としてのキリスト(第二章)、条件としての悔い改めと信仰(第三章)、告白に生きる生活(第四章)、告白によって立つ教会(第五章)と恵みの手段(第六章)、キリストを他者に告白する伝道(第七章)。さらに、日本人用として石井正治郎師による序章が加えられ、各章には復習問題・暗唱聖句・討議のための問題がついているというサービスぶりです。
本書が東北でともに労しておられる敬愛する先生方によって改訂・翻訳されたことも私の喜びです。