ブック・レビュー 燃えて輝くようなキリシタン大名、髙山右近の人格
岸 義紘
JTJ宣教神学校学長
幕末・開国・明治維新・近代国家へ。昨今の歴史ものブームは、反面、いかに私たちが母国の歴史を学んでいなかったかを知らされることになりました。髙山右近についても同じようでしょうか。キリシタン大名であったことよりほかは、ぼく自身ほとんど知りませんでした。
著者は、この武将であり、茶人であり、熱烈なキリスト信仰者であった髙山右近を自分の信仰の目標と定めました。そして、牧師としての生涯をかけて追究していける歴史上の人物、と心を決めました。
この本は、燃えて輝く松明のような存在・髙山右近を支えていた優れたキリシタン家臣たちや武将たち、同時代に渡来したスペイン、ポルトガルの宣教師たちの生きざまを描き出しています。さらに時の権力者たちも一人ずつ取り上げています。これによって髙山右近という人の人格と働きの全体像が、より歴史的に臨場感をもって迫ってきます。
第一章 右近をめぐる茶将たち
千利休/織田有楽斎/蒲生氏郷/古田織部/瀬田掃部/芝山監物/牧村兵部/細川忠興
第二章 右近を取り巻く伝道者たち
ルイス・フロイス/ロレンソ了斎/ルイス・デ・アルメイダ/ニエッキ・オルガンティーノ/アレシャンドゥロ・ヴァリニャーノ
第三章 右近と同時代に生きたキリスト者たち
細川ガラシャ/小西行長/内藤如安/結城ディエゴ(了雪)/三浦按針(ウィリアム・アダムス)/大友宗麟
第四章 右近をめぐる時の権力者たち
荒木村重/織田信長/豊臣秀吉/前田利家/前田利長/以心崇伝
牧師であり、茶人である著者は、髙山右近をめぐる三部作の最終章として本書をまとめあげました。『茶の湯の心で聖書を読めば』『武将髙山右近の信仰と茶の湯』(ともにいのちのことば社フォレストブックス)を併せて読まれることをおすすめします。