ブック・レビュー 聖書の多様なメッセージを一つ一つの教理に結びつける


吉田 隆
神戸改革派神学校校長

いまだかつてない、きわめてチャレンジングな書物が出版された。
これは、そんじょそこらのデボーションの本とは全く違う。何しろあの有名な『ウェストミンスター小教理問答書』全一〇七問を一問ずつ、一週間にわたって思い巡らすという(つまりは、一〇七週間を要する)四百頁を超える壮大なデボーションなのだから。
聖書と教理、教理と聖書。この両輪が合わさってキリスト教信仰は堅固なものとなると言ったのは、宗教改革者のジャン・カルヴァンである。それを文字どおり実現させた本書は、その週に扱われる一つの教理に関係する旧新両約聖書のさまざまなみことばを月曜から土曜日まで思い巡らす。それによって、ともすれば無味乾燥になりがちな教理の豊かさをみことばによって味わい、他方バラバラになりがちな聖書の多様なメッセージを一つ一つの教理に結びつけることで正典としての体系的理解へと導く。この訓練を日々のデボーションにしてしまうとは!
著者のスター・ミードは、クリスチャン・スクールで聖書とラテン語の教師を八年間、教会の教育主事を十年間務めた後に、今でも御主人と地元の教会の日曜学校で教え続けておられる(六人のお孫さんを持つ)〝スーパーおばあちゃん”である。
子どもたちが霊的にも知的にも一番成長する一番大切な時期に、みことばと教理という最も大切な骨格を教えることなく、柔らかい食べ物ばかりを提供している教会の現状に危機感を抱いたのが本書(原題Training Hearts, Teaching Minds)執筆の動機という。
本書は元々家庭礼拝用のテキストとして書かれた。翻訳もレイアウトも実にコンパクトで読みやすい。こんな書物でわが国のすべてのクリスチャンホームが訓練されたなら、いったいどんなことになるのだろう……。皆さん、試してみませんか?