ブック・レビュー 21世紀ブックレット31
『ウェストミンスター小教理Q&A107』

21世紀ブックレット31『ウェストミンスター小教理Q&A107』
石丸 新
日本キリスト改革派教会 引退教師

理にかなった信仰が貫徹できるように願い求めて……

 360年前に英国で作成され、世界中で広く用いられてきた『ウェストミンスター小教理問答』の手ごろな解説書が、宇田進先生の翻訳・編集により刊行され、早速、再版を重ねました。

 原著者ポール・G・セトルは、現在は、アメリカ長老教会の教職で、問答を教える実際の経験から、このコンパクトな学習テキストを生み出しました。1974年に、日本キリスト改革派高知教会の石井正治郎牧師(当時)により翻訳され、英・日両文対照の形でタイプ印刷されたものを、私は今も大事にしています。

 これを参照しながら、宇田先生が翻訳・編集されたのが本書です(後記)。長年にわたり、牧会と教育の務めに励んでこられた経験が、「編集」の作業に結晶しています。

 特に、「はじめに」の第一項「なぜ今“教理問答”を?」は、極めて有益です。神の民である教会の信仰にとって規範的なものとしての信条の重要性が、まず指摘されます。そのうえで、聖書真理の体系を「神の福音の論理」と定義し、教理問答を「信仰の道筋」を示すものと位置づけています。本書の副題に「キリスト教信仰の道筋」とあるとおりです。

 編集の跡は、1例を挙げれば、問60の解説6で、終わりの1行半を追加したところに見いだされます(68頁)。必要に応じて、問答原文の用語をカッコに入れて示しているところから、訳者の親切心をくみとることができます。本問答の構成と内容を一覧で示すほか、『信仰告白』『大教理問答』の参照箇所を併記することについても同じです。もっと学びたいという聖なる欲求をうながす訳者の思いが伝わってきます。

 過不足ない書き方に貫かれたこの解説書を実際に用いることによって、「伝えられた教えの規準」(ローマ6・17)に服し、「健全な教え」(テトス2・1ほか)に従い、理にかなった信仰を貫徹できるように、と願い求めます。