今、子どもたちに伝えたいこと
「いのち語り隊」からのメッセージ ◆「いのち語り隊」からのメッセージ

一月末、神戸市立井吹西小学校で行われた「いのちの教室」を取材した。小学六年生の生徒たちが集まった体育館では、永原さんが受精から赤ちゃんが産まれるまでをパワーポイントを使いながら説明。映像を解説しながら丁寧に進められる授業を、生徒と保護者、先生たちが熱心に聞いていた。
「赤ちゃんは、四つの〝一生懸命”がひとつになって贈られてきたいのちです。まず、赤ちゃんはママのお腹から一生懸命産まれてきます。ママも一生懸命です。限界を超えた力で、いのちがけで産みます。手抜きしては産むことができません。また、家族も一生懸命励まします。そして、助産師やお医者さんたちお産の専門家も一生懸命、二つのいのちを守り、応援します」と語る永原さん。
産まれた直後、ママに抱かれた赤ちゃんとうれしそうなパパの写真を映し、「赤ちゃんは周りの人をニコニコ笑顔にする〝幸せパワー〟を持って産まれてきます」。また、夫婦で一緒にお産にのぞんでいる写真では、「男の人と女の人には役割分担があります。産む女性を支えるのが男性。もし女性が男性のように筋肉いっぱいの体だったら、赤ちゃんはお腹の中で育ちませんし、狭い産道を降りてくることができません。女性はいのちを産む可能性を持ち、男性はいのちを守ったり、支えたりします。男女は平等ですが、産む性と支える性という役割が違うのです。それぞれの特質を生かして、協力し合って暮らすことが幸せな生き方です」
産まれた赤ちゃんを囲んだ家族の写真からは「いのちのバトンタッチ」を紹介。「皆さんは〝親に似てるね”と言われることがありますか。〝似てる”ということは、いのちがバトンタッチがされたという証拠です。いのちのバトンは染色体。人間には四十六本、二十三ペアの染色体があります」と、染色体の説明などもする。
結婚しない人や、子どもを産まない人、産みたくても授からない人についても、「赤ちゃんを産まない人は、いのちのバトンは渡せないのでしょうか。いいえ、生きていることそのものが、いのちのバトンタッチです。今日話したことがそうです。大人になって、このことを覚えていてくれて、また次の子どもたちに伝えてくれたら、バトンを渡すことになります」と語る。
そして「いのちをバトンタッチすることは歴史を作るということです。みなさんはバトンを渡され、“今”という歴史を作っています。このように自分のいのちを感じてみると、いのちは自分だけのものではない、とても大切だなと思えてきます」。