八ヶ岳のふもとから 第9回 かぼちゃの宝蒸し
松村登世
森に住んでいると、夏の終わりを味わう間もなく一挙に秋の訪れを感じる。散歩に出た夫はかごに山盛りの栗を拾ってくるし、私は野辺のすすきや野菊を摘んで食卓に飾ったりするので、部屋の中も秋色に染まる。明日は東京の友人が訪ねてくれると夫に話すと、ちょうど食べ頃のかぼちゃを収穫してきてくれたので、それではと「カボチャの宝蒸し」をすることに。
400~500gくらいの小さいカボチャがこの料理には向く。中に色とりどりの“宝”を入れて、蒸し上がったら切り分け、お好みのあんをかけていただく。素朴な味ながら、夫の大好物である。油を使わないので体にも良いはず。しかし、若い人はバターやチーズをかけて洋風にしても美味しいと思う。余ったら、おかゆやご飯に混ぜ込んでおじやにしても美味しいはず。
美味しいものはだれかと分かち合っていただくのがいちばん、友人が訪ねてくれるとついついはりきってしまう。去年まで、私の料理を毎年食べに来てくれていた親友が先に天国へ逝ってしまったので寂しい思いをしていたら、最近もう一人の親友が、これから春と夏だけ別荘で暮らすことにしたというので、神様のご配慮かしらと喜んでいるところだ。夫もうれしそうに畑のトマトやキュウリをせっせと直送している。様々なことを分かち合える友人や隣人は、何より大切な宝物とこの頃しきりに思う。
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編集者より
原稿の執筆を依頼しても、断られることがある。残念なのは事実だが、同時に「じゃあどんな出会いがあるんだろう」とわくわくもする。断られることから始まるよい出会いがあると経験則で知っているからだ。うまくいかない……そんな思いを吹き飛ばしてくれるのは、たったひとつの出会いなのだ。(永倉)
賛美と聞いてまず思い浮かぶのは1954年版の『讃美歌』です。子どものころから言葉の意味が分からぬまま歌っていましたが、その意味をよく考えたとき、脳裏に刻み込まれたメロディーとともに胸が突き動かされました。ついに出版された『教会福音讃美歌』も長く用いられますように。(加藤)