八木重吉に出会う その詩の純粋さに心をひかれて

八木重吉に出会う

その詩の純粋さに心をひかれて

29歳という若さで妻のとみ、娘の桃子と息子の陽二を残し、天に逝った八木重吉。
彼の詩は80年ほども前に作られたにもかかわらず、さびつくことなく現代人の渇いた心に潤いを与え続けている。
重吉の詩の魅力とは何なのだろう。
重吉の生き様を掘り起こしながら、詩を味わいたい。

仕事

信ずること

キリストの名を呼ぶこと

人をゆるし 出来るかぎり愛すること

それを私の一番よい仕事としたい

きりすと(傍点・・・・)を おもいたい

いっぽんの木のようにおもいたい

ながれのようにおもいたい
桃子よ

もも子よ

おまえがぐずってしかたないとき

わたしはおまえに げんこつをくれる

だが 桃子

お父さんの命が要るときがあったら

いつでもおまえにあげる

こころよ

では いっておいで

しかし

また もどっておいでね

やっぱり

ここが いいのだに

こころよ

では 行っておいで

ぽくぽく

ぽくぽく

まりを ついていると

にがい にがい いままでのことが

ぽくぽく

ぽくぽく

むすびめが ほぐされて

花がさいたようにみえてくる

ひとよろこべど

そのよろこびにわれはおどらず

われかなしめど

わがかなしみにひとはなかず

ああたれかありて

おなじおもいをかたるものはなきか

このさびしさを誰れに告ぐべきか

神に告ぐべし

神様

 あなたに会いたくなった

くものある日

くもは かなしい

くもの ない日

そらは さびしい

許しうるものを許す

それだけならどこに神の力が要るか

人間に許しがたきを許す

そこから先きは神のためだと知らぬか

わたしもわるいから

ひとをゆるすのではなかった

なにのゆえでもない

ただゆるせばいい

あなたにはどの詩が心に響きましたか。
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(今号の特集で紹介している詩からお選び下さい)
8月号で発表します。
採用させていただいた方には『八木重吉に出会う本』『こころよいっておいで』『神様あなたに会いたくなった』の中から一冊を差し上げます。
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