四季の庭から 12 和紙あればこそ

和紙あればこそ
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会会員

 ちぎり絵を始めたのは、和紙をちぎったときの非常に繊細で優美な表情に一目で魅了されてしまったから。下絵にあわせて和紙をちぎって、順に貼ってゆく。手間ひまの他には特別な技術は何一つない。色合いも絵の雰囲気も、ほとんどが和紙そのものの個性に負うところが大きく、和紙との出会いを与えて下さった神さまに本当に感謝している。

 和紙は産地の直売所で買う事が多い。色が入り交って微妙な濃淡を持つ紙は特に好きで、紙そのものにストーリーを感じてわくわくする。絵の具のように色を自分で自由に生み出すことができないので、どの紙をどう使うかいつも悩んでばかりだけれど、そこがおもしろいところでもある。

 私の場合は、和紙を生み出してくださる方がいなければ何もできない。お米なしでは絶対におにぎりを作れないのと同じことだ。

 和紙を染めるのは職人さんの仕事だろうが、私がよく行く和紙の産地では農家の主婦の方が農閑期に染めておられると聞いたことがある。いずれにしても、和紙づくりは高い技術が求められるのに採算面では困難が多いと聞く。後継者の問題もあるのだろう。ここ数年、産地でも都内の専門店でも色染め和紙のバリエーションが徐々に減ってきているような気がしてとても心配している。