四季の庭から 6 梅雨空の下
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会会員
5月に芽吹いた植物のみずみずしい緑は、静かに降り続く細かい雨を受けて、少しずつ黒々とたくましさを増してゆく。梅雨どきは日中もうすぼんやりとしてあまり気にもとめないけれど、植物の中では何か、とてつもないことがおこっているのかもしれない。
桜の葉など出たばかりの頃はひよひよと頼りなくて、桜餅を包むしかなさそうだし、新緑の山々もやわらかそうで、そのままサラダボウルに盛ってドレッシングをじゃんじゃん振って食べてみたらどうかと思うほどだ。ところが、梅雨明け間際の激しい風雨を乗り越えるころには、それが見違えるように濃厚な緑のかたまりに変わっている。真夏の太陽との決闘に準備ばんたん整えた格闘家みたいになっていて、毎年のことながらいつも驚かされる。
雨の中を飛んでいる鳥はあまり見ないけれど、つかのまの雨の小休止に待ちかまえたようにどこからともなく小鳥が現れて飛び交っているのは正直でおもしろいなあと思う。
野鳥の多くは春先から巣作りをはじめ、初夏のころには子育てを終えるそうだ。密生する植物の葉がうまく巣をカムフラージュするのにいいらしい。ということは梅雨の合間を飛ぶ小鳥の中には、まだ飛びはじめたばかりの初心者も多いはずだが、まったく見分けがつかないのがこれまた野生のすごいところなのだ。