天国へのずっこけ階段 第11回 日本人妻たち

松本望美
北朝鮮宣教会所属/韓国在住

 韓国人男性と結婚した日本人妻を何組か知っている。カナダやアメリカ、イギリス、中国などの留学先で知り合い、結婚して初めて韓国に住んだという人がほとんどだ。

 妻たちの中には「この前、深夜に夫婦げんかして、パトカーを呼ばれました」と笑いながら言う人もいれば、「みんな、韓国ドラマにだまされて結婚しちゃうのよね! 韓国人男性は“東洋のイタリアン”だから、女性に優しいでしょう? 日本人男性がする愛情表現しか知らないと、ころりとやられちゃうのよね……」としみじみ言う人もいる。「みんながヨン様だと思ったら、大まちがいよね!」と笑う人もいる。

 しかしながら、韓国人の夫は「日本人の奥さん、すごく怖いです」と言う。「ある晩、お酒を飲んで帰ってくると、妻が『あなた、ここに座って』と静かに言うので、座ってみると『一年前のあのとき、あなたはこう言った』『三か月前には、こんなことした』とか、過去をさかのぼって怒って、『そして、今晩はこうだ』とやっと現在に至る……。ひとつひとつよく覚えてるよ。しかも、感情むき出しにしないで静かに淡々と言うでしょ? 恐ろしいですよー。そのときに、すぐにカーッと怒ってくれたらいいのに……本当に怖い、怖い!」と笑う。

 また、ほかの韓国人夫は言う。「いやー、日本人が韓国人のようにカーッと怒るときは、お互いの関係が完全に終わってしまうときだね」

 そんな日本人妻たちも、少しずつ韓国に慣れて、たくましくなっていく。赤ちゃんをおんぶするときには、韓国で昔から使われているおぶい紐を使い、近所の若い奥さんに「あらー、懐かしいもの使っているわね」と感心されたり、韓国人でさえもスーパーで買うキムチを、自宅で作ったりする日本人妻もいる。

 「嫁いできた当時、文化の違いにとまどったわ。夫の両親や家族が遊びに来ると、タンスや引き出しを勝手に開けられたり、『貸してね!』と言われたものは返ってこないし」とある妻が言うと「そうそう! 夫の両親が泊まりに来たときには、早朝に台所から音がして、そっとのぞいてみると、両親が台所のすべての扉を開けて、チェックしてた」

 そんな妻たちが言う。「最初は大変だったけど……神様がね、私に計画を持ってて、国籍を越えて主人と結び付けてくれたからね。やっぱり、ここで生きていくことに大きな意味があるんだと思う。」

 時々、彼女たちと食事するが「ねえ、何食べる?」ときくと、口をそろえて言う。「数か月ぶりに赤くない料理がいい!」がんばれ、日本人妻たち!