子どもたちに今! 伝えたい
「性といのち」の大切さ… 第21回 子どもが性的いじめ被害に
永原郁子
マナ助産院院長
娘が学校でいじめ被害にあっています。パンツを脱がされたり、触られたり、警察に届けてもおかしくないことが起きています。上級生の男の子複数からで、これまで三度ありました。四度目を防ぎたいです。どう対処すればよいでしょうか。いじめている子どもや親にも永原さんの「いのち語り隊」の話が必要です。小学校や町、あるいは県の要望が必要でしょうか。ぜひ、よろしくお願いいたします。(青森県/匿名希望)
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さぞかし怖い思いをされたことと思います。上級生の男の子が複数で近づいてくるだけでも、下級生の女の子には恐ろしいことです。その上、乱暴なことをされて本当に辛かったと思います。それもくり返されていますから、これ以上の被害がないように対応することと、お子さんの心のケアが必要だと思います。
まず、お母さんに話してくれたことをほめてあげてください。子どもはこのようなことがあったとき、不思議と親には言ってはいけないと思います。お母さんを悲しませたくないという気持ちがそうさせるのでしょうか。実際、親としてはこのようなことを聞くと、驚きや怒り、悔しさ、悲しさなどの感情がこみあげてきて、動揺してしまいます。しかし、親の動揺は子どもを不安にさせます。動揺を抑えながら「よく、お母さんに言ってくれたね。ありがとう」などのことばをかけてあげてください。
それから、お子さんの気持ちに共感してあげてください。「怖かったね」とか「いやだったね」とか「痛かったね」と背中や肩をさすりながら、できるだけお子さんの気持ちに寄り添ってあげてください。決して、「何をしていたの」「なんでそんなことになったの」などと問い詰めたり、「あなたがそんなことをしていたから」とか「あなたがそこにいたから」などと裁くようなことばは言ってはいけません。傷ついた心を閉ざすことになります。そして、一貫して「あなたは悪くない」と言い続けてあげてください。性器を乱暴に扱われるということは、人格を否定されるのと同じです。小さなお子さんであっても、自己否定につながりかねません。「あなたは悪くない」このことばは心の傷を癒し、立ち直りの力を与えてくれます。
プライベートゾーンの大切さを教えてあげるのもいいと思います。たとえば、「男の子も女の子も、パンツをはいている部分はとても大切なところ。なぜかというと、そこは赤ちゃんの元があるところだから。また赤ちゃんを育てるオッパイも同じように大切なところ。そこを見ようとしたり、触ろうとするのは絶対いけないこと」。
そして、「もし、今度同じようなことをされそうになったら、大きな声で『いやだ』と言って逃げるんだよ。そして必ずお母さんに教えてね」と教えてあげてください。
次に上級生の男の子たちのことですが、おっしゃるように、状況的には性犯罪です。学校側に事実を報告する必要があると思います。このとき、被害者と加害者という立場で話をすることもできますが、もう一つの方法は(もし心に余裕があるのでしたら)、「娘が受けた心身の傷は測りしれず、親として心を痛めていますが、娘のことだけではなく、男の子たちのことも気がかりです。犯罪で人生を台無しにすることがないようにと思います」という立場で話すこともできます。被害者として接すると、男の子たちの保護者はわが子の正当性を主張してくるかもしれません。そうなるとお子さんだけではなく、あなたも傷つくようなやり取りになりかねません。男の子たちに罪を認めさせ、女の子に二度とこのようなことをしてはいけないと効果的に思わせるのは後者ではないかと思います。とにかく学校がしっかりと対応してくれるように働きかけてください。
「男の子たちにも『いのち語り隊』の話を聞かせる必要がある」とおっしゃってくださり、すぐにでも青森に行って、お役に立つことがあれば何でもさせていただきたいという思いですが、なかなかそうもいきません。以前、ある県の知事からお招きを受けて遠出をしたことがあります。県の教職員の方々への講演でした。何度も出向くことは難しいのですが、子どもたちに影響力のある先生方に一度に聞いていただけるような機会があれば遠出も可能です。もしそのような機会をいただけるのでしたらご一報ください。また、このようなことも含めたテーマで近々、絵本を出版することも検討しています。その際はご利用ください。
「よこしまな曲がった時代の中で、非のうちどころのない神の子として、世にあって星のように輝き、命の言葉をしっかり保つでしょう」(フィリピ2・15、16/新共同訳)
よこしまな情報に、子どもたちまでが影響されているような時代です。みことばをもって、本来の子どもたちのいのちの輝きを取りもどしたいと思うのです。
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