子どもと一緒に育とう ■「天の御国」は、まず家庭の中に―
若井千鶴子
水沢聖書バプテスト教会 牧師夫人
「どんなに忙しくても家族との時間を大切にしてくれたね」
〝結婚した娘からの手紙”で、この本は始まります。読みながら心がとても温かくなる本です。愛情豊かな著者家族の姿が、その内容からいっぱい伝わってくるからです。
難しい記述は一つもありません。子どもの人生は親のものではなく、子ども自身のものであること。両親が愛し合うことによって、子どもは愛を知ること。子どもたちは、家庭の中で社会性を養っていくこと。そのような基本的なことが聖書のみことばを通して教えられています。そして、聖書を基盤とした家庭形成が愛情豊かな家庭を築き、子どもたちの人格を確かに形成していくことを教えられます。
教会に熱心に通う信徒が、家庭では良い親であり、良い子どもであるとは限りません。「教会形成」という勇ましいかけ声の背後で、「家庭形成」がおろそかにされてしまうこともあり得ることです。
わが家でも、東日本大震災以後は被災地支援活動や放射能問題の対策に追われ、子どもとゆっくり向き合う時間が減ってしまいました。
忙しさの中、子どもの声にじっくり耳を傾ける余裕がなくなってしまったと思います。そんな中、子どもは怒りやすくなってしまいました。「子どもをおこらせてはいけません」との聖書のことばが胸に刺さりました。
著者は、家庭はいつでも落ち着ける場所、喜びに満たされる場所、天国の平和と安らぎを反映している場所だ、と語ります。この本を夫といっしょに読み、子育てという大きな責任ある仕事が私たちにゆだねられていることを再認識しました。天国を地上にもたらすという私たちにゆだねられた働きは、まず家庭から始まるということを教えられる一冊です。
BOOK レビュー
父親、牧師、児童養護施設のチャプレン……、いくつもの立場で、多くの子どもたちと接してきた著者が語る「子育て」とは―。
『子どもの将来を希望の目で育む』
安藤能成 著 B6判 945円
担当編集者Fより
子育ての問題の根っこにあるのは、人とくらべること。そして、もっとできるようになってほしいという親心。この本は、そのあたりのこだわりを見事にときほぐしてくれます。育つこと、育てることを見つめてきた小児科医の、実際的アドバイスと育児哲学がつまった一冊。子どもとの時間をもっと楽しめるようになりますよ。
『ゆっくり育て子どもたち発達相談室で僕が考えてきたこと』
鍋谷まこと 著
B6変型判 114頁 1,050円
担当編集者Yより
専門的な内容がとてもわかりやすく書かれてあり、「発達障害」の知識がまったくなくても、サクサク読めます! 「障害」ということばで子どもたちを括るのではなく、「個性」として捉えられるように、まず大人から変わらなければと考えさせられます。発達障害の子どもたちだけでなく、すべての子どもたちのために書かれた一冊です。
『発達障害とその子「らしさ」児童精神科医が出会った子どもたち』
田中哲 著
B6判/160頁 1,260円
担当編集者Tより
天地創造から使徒の働きまで、旧新約聖書のお話が365話収録された絵本です。親と子で毎日聖書を読むことは大切ですが、どの家庭でも、子どもの興味を保ち続けることに苦心しているようです。本書は1話がほんの数行程度で、易しいことばで書かれているので、小さいお子さんでも毎日読み続けられるのではないかと思います。
『みんなが楽しめる聖書ものがたり365』
メグ・ワング文
ヘザー・スチュワート絵
160×190ミり
384頁 2,100 円