教理を学ぼう! 第1回 「サタン」
〝サタン〟って本当にいるの?
■ 堕落した御使いにはリーダーがいる
ある日、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンも来てその中にいた。(ヨブ記1章6節)
サタンは堕落した御使いたちのリーダーであり、彼ら同様に新約聖書においてのみ、その全体像が明らかになっている。彼の名は「敵対者」(神と神の民の反対者)を意味し、旧約聖書はサタンをそのような者として紹介している(Ⅰ歴代21・1、ヨブ1~2章、ゼカリヤ3・1~2)。新約聖書はサタンの正体をよく表す呼び名を付けている。「悪魔」(ディアボロス)は「(神の民を)告発する者」(黙示録12・9~10)を意味し、「アポリュオン」は「破壊する者」(黙示録9・11)を意味する。また「試みる者」(マタイ4・3、「誘惑者」Ⅰテサロニケ3・5)や「悪い者」(Ⅰヨハネ5・18~19)とも呼ばれている。さらに「この世を支配する者」また「この世の神」という呼び名は、サタンが神に敵対した人間の生き方を取り仕切っていることを示している(ヨハネ12・31、14・30、16・11、Ⅱコリント4・4。エペソ2・2、Ⅰヨハネ5・19、黙示録12・9も参照)。イエスは、サタンがいつも人殺しであり偽りの父であると言われた。すなわち、サタンは初めから偽り者であり、その結果生じるすべてのうそと欺きの張本人である(ヨハネ8・44)。最後に、サタンはエデンの園でエバをだました蛇であると見なされている(黙示録12・9、20・2)。その描写は、神ご自身と神の真理、そして救いのために神が愛を注いだ者とに対して向けられた想像を絶する卑劣さ、悪意、怒り、残酷さを描き出している。
サタンの欺きとずるがしこさは、彼が光の御使いに変装し、悪を善だと偽っているというパウロの主張によって強調されている(Ⅱコリント11・14)。サタンの破壊的な残忍さは、彼がほえたけり食い尽くすべきものを捜し求めている獅子として(Ⅰペテロ5・8)、また巨大な竜として(黙示録12・9)描かれている点によく表れている。サタンはキリストの公然とした敵であったように(マタイ4・1~11、16・23、ルカ4・13、ヨハネ14・30。ルカ22・3、53も参照)、今はクリスチャンの敵であり……(「27 サタン」より)
『聖書教理がわかる94章
―キリスト教神学入門』
J・I・パッカー 著 篠原明 訳
320頁 2,100円(予価)
※『聖書教理がわかる94章』からの抜粋になります。