時代を見る目 104 初穂クリスチャン(1) 痛みと葛藤

神津 喜代子
日本バプテスト教会連合 大野キリスト教会主事

 一%。これがクリスチャン人口である。今はこの数字について私は論ずる気持ちはない。教会にいると、周りがほとんどクリスチャンだから、何だか結構多いような錯覚をする。しかし、実際は日本のほとんどの家庭にクリスチャンはいないか、いても初穂の場合が多い、ということである。実は私もその一人である。夫が二十三年目にしてようやく礼拝に出席しはじめたが、長い間この痛みと葛藤を抱えてきた。次回はその証しをしたい。

 横暴なご主人から逃れようと救いを求めてきた婦人が、ようやく礼拝に出席した日、肩をならべて仲良く礼拝しているご夫妻を見て、涙が溢れてそれきり教会に来なくなったという話を聞いた。本来はほほえましい情景が、ある人には痛みとなることもあるのだ。

 ある若い女性が、遅くまで教会で奉仕して帰ったとき、両親から、調子よく他人の娘を夜までこき使って挨拶もないとは、牧師とはどういう神経しているんだと、どなられ、それ以後、教会から遠のいてしまったという。私がもし未信者だったら娘に同じことを言ったかもしれないと、ぞっとする。彼女の家族と牧師の間にもっと信頼関係があればと悔やまれる。

 また、ある男性が献身して神学校に行きたいと未信者の奥さんとその両親に頭を下げたら激しく反対され、それ以後、別居生活が続いているという。その教会の牧師が、未信者の家庭に対しての配慮が足らなかったと悲しそうに話された顔が忘れられない。その後どうなったのだろう。

 あらためて牧師とクリスチャンホームの方々へお願いしたい。初穂のクリスチャンを大切にしてほしい。彼らは、この世で一番価値ある戦いに挑み勝利した勇敢な兵士なのである。この主の兵士を孤立させたり、不安がらせたりしてはならない。

 家族の様子をできるだけ把握し、本人や家族の問題に耳を傾け、できれば家庭訪問をし、本人への配慮と励ましを継続してほしい。また、初穂のクリスチャンが喜んで持って帰れるような教会案内や印刷物を、もっと作ってほしい。いかに多くの印刷物がクリスチャン向けであることか。

 そして、何よりも祈って支えてほしい。福音に生きようと頑張っている未信者の家族の初穂を。大切なキリストの体の一部を損なわないために。