時代を見る目 153 父のアイデンティティ(3) 息子の教育
笹岡 靖
ARKホームエデュケーション・サポート協会代表
父たちよ、……主の教育と訓戒によって育てなさい(エペソ六・四)。子どもたちには、良き信仰者、良き家庭人、良き職業人を目指して成長してほしいと願っている。しかし、いずれも難しいテーマである。現代社会においてどれひとつとっても容易ではない課題であるのに、クリスチャン家庭では三つ乗り越えなければならない。それは、良きものを次の世代に残すという務めであり、だからこそ、父親がこの課題に正面から取り組む必要があると考える。
信仰は、女・子どものするものであると侮蔑的に言われたりするが、このことは、信仰に対する無理解のみでなく、クリスチャン家庭の教育にも責任があると思う。若い世代が教会に根づかないと言われて久しいが、その原因は、魅力的なクリスチャン男性を育ててこなかったことに問題があるのではないだろうか。信仰に根ざした家庭を持ちたいと願っている未婚のクリスチャン女性は多いように思う。しかし、そのように願い、祈っている未婚の男性クリスチャンは、どれだけいるのだろう。真の意味で「モテる」男性クリスチャンがいない教会には、未来がないだろう。「教会には、魅力ある男性がいない」と思われているとしたら、教会の将来はない。
クリスチャン家庭は、信仰教育に加えて、家庭責任と職業意識をしっかりと見据えて、子どもたちの教育を考えることが必要である。そして、教会には、そういう家庭教育のあり方をサポートするプログラムがほしい。家庭責任には、家事を手伝うといった実際面も含まれる。
聖書の歴史は、アダムとエバの家庭から始まった家族関係の崩壊の歴史である。だとすると、キリストによる救いのわざは、家庭の回復として現れてこなければならないと思う。アダムとエバから流れている悪循環、負の連鎖から回復するプロセスが信仰の成長なのだ。
私たちは、「ボーイズキャンプ」と称して父親と息子限定、女人禁制のキャンプを開催している。男性であることの祝福と務めの大きさを、父親そして息子が確認し、互いに励まし合っていくことを目指している。時間を割いてキャンプに参加し、息子と関係を結ぼうとしている父親の姿を見ると、癒される思いがする。私自身がそういう父親との関係を切望していたのだろう。
父たちよ。自分に与えられた祝福の大きさを覚えよう。父親は、家庭で育つらしい。