牧師のメンタルヘルス3
牧師とその家族の心を守るために読んでおきたい本
◇牧師が自分と他者に向き合うための好著
『牧師とその家族のメンタルケア』A5判 1,785円
窪寺俊之、森田悦弘、久保田拓志 共著
・書評・「いのちのことば」二〇一〇年四月号(評者 堀肇/鶴瀬恵みキリスト教会牧師)より抜粋
「牧師の主な職務が説教と牧会であることは周知のことですが、それにしても牧会ケア、分けても牧会者へのケアに関する書物が少ないのは驚くほどです。そうした言わば実践神学の貧しい実情と事の重要性・緊急性を考えると、本書の出版は遅きに失したと言ってよいほどです。
窪寺氏が取り上げられた牧師の直面する諸問題は多岐にわたっており、牧師たちの誰もが知りたいと思っている事柄です。筆者が特に共鳴した点は、牧師の個人的な「生育史」「牧師夫人・女性教職」「牧師のスーパーバイザー」などです。取り分けスーパーバイザーの制度や臨床牧会教育の必要性に関する言及は日本の教会・神学教育機関への緊急提言であるとも思わされました。窪寺氏は『牧師が自分ひとりで意識しにくい心の底にある問題』に気づくためにスーパーバイザーが必要であると述べておられますが至言です」◇教会の健全なあり方を探る
『牧師の責任 信徒の責任』B6判 1,680円
野田秀 著
・書評・「いのちのことば」二〇〇九年十月号(評者 矢木良雄/桂町キリスト教会牧師)より抜粋
「前半では、責任の意味が一般論から説き起こされる。そこでは果たすべき責任と負うべき責任、責任感がどのように育まれるか、行き過ぎた責任感など、明快な切り口で分析される。責任を考える上で大切なのは三点あげられる。責任に忠実であること、立場や使命に対して謙虚であること、他との信頼と協調である。
本題に入り、「牧師の責任」は四つの言葉で整理される。「方向づける」「意味づける」「結びつける」「力づける」。その分析と示唆は、牧会者としての姿勢を再考させずにおられない鋭さがある。同時に、先生ご自身の失敗体験をありのままに記しておられるゆえであろう、温かい励ましを感じる。
次に「信徒の責任」は、「教会を理解する責任」「恵みに応答する責任」「教会に協力する責任」からなる。その中で、教会生活が普段の生活全般を支える位置に置かれているかが問われている。教会内で「信徒の責任」を正面から取り上げることは容易でない。ここはぜひ、牧師と信徒が一緒に読んで学んでみてはいかがだろうか」
◇牧師夫人が抱える問題を語る
『はい、私は牧師夫人』B6判 1,575円
リア・マラシガン・ダーウィン 著 山下 章子 訳
・書評・「いのちのことば」二〇〇九年十月号(評者 朝岡満喜子/元牧師夫人、徳丸町キリスト教会教会員)より抜粋
「著者は知性、教養に恵まれ、成熟した人格とキリスト者としての霊性の高さを備え、福音的な牧師家庭に育ったという背景を持ち、自身も牧師夫人を経験する一人として、牧師夫人が抱える問題、悩み、苦しみ、困惑等について具体的に語ります。何よりもその裏付けが聖書の言葉に依拠していることが読む者に光を与え納得させる力があります。
本書は、牧師夫人のアイデンティティーを養う示唆に富んでいます。著者が学んだ神学校には妻のためのプログラムがあると知り、日本でもぜひ、と思います。各夫人が孤軍奮闘の末、疲れてしまうという状況ではないでしょうか」