生き方の達人 日野原重明&星野富弘の対談から -2 *(後半)
鴻海 誠
フォレストブックス編集長
今回、この企画にかかわった者として、対談が実現し、放送番組や本というかたちになって多くの方に見ていただくことになったことに、私はいくつかの意義を覚えている。
まず、年齢の差こそあれ、社会的な影響力をもつクリスチャンが顔と顔を合わせてまみえたことである。
ご存じのように、日野原さんは医療の世界で大きな社会貢献をしてきたばかりでなく、執筆活動をはじめ、九十四歳という高齢にもかかわらず、さまざまな分野にまたがって精力的な働きをされている。一年に一五〇回の講演をこなしているとも。昨年は文化勲章を受章している。
いっぽう星野さんもまた、その詩画を通して人々に与えてきた感化は想像を絶するものがある。「ふるさと創生」として国の肝いりで建った小さな村の美術館には、一九九一年のオープン以来、五百万人が訪れている。今年六月、群馬県名誉県民に顕彰された。
こんなおふたりだが、そして互いに深い関心を寄せていたにもかかわらず、不思議にこれまで会うことはなかった。一期一会ともいえるこの邂逅での言葉が、「神なき」民日本人への証しとして、一人でも多くの人に伝わってほしいと祈ってやまない。
また、今回、放送メディアの団体である太平洋放送協会(PBA)と文書メディアのいのちのことば社が、コラボレーションとしてこの対談企画を進めることができたことはうれしいことであった。
そのような配慮をくださった榊原寛氏をはじめ太平洋放送協会の皆様に心から感謝したい。協力していただいたグロリア・アーツ(株)やシオン・トラベルの方も含めて、十か月に及ぶ合同ミーティングをもちながら、案を練り、具体化していった。
さまざまな体験を共有することで、強い連帯感を与えられた。このことは、長くこの世界で仕事をさせていただいている者たちにとって、たいへん新鮮な経験であった。私たちは、福音の同労者であることを改めて確認したことであった。