私のとっておきの1冊 第4回 『愚かな女は騒がしい。賢い男は珍しい。』


砂原俊幸
日本福音キリスト教会連合・キリスト教朝顔教会会員


愚かな女は騒がしい。
賢い男は珍しい。

フォレストブックス
B6判 / 258 頁
定価 1,365円

男女の違いを整理し、良い関係を保つための具体的な知恵が満載

 10年ほど前、東京郊外の閑静な街にある洒落たカフェで、プリマリタル(結婚準備)カウンセリングを受けた。結婚半年前のことだった。

 そこは、平日は本格的なカフェ、日曜は教会という不思議な場所で、カウンセラーで牧師のマレさん(石井希尚師)は、にこやかな中にも時折鋭い雰囲気を漂わせていた。

 当時は婚約者だった妻はマリッジブルー(結婚前鬱)気味で「うまくやっていけるか不安……」と言い、カウンセラーとして有名になりつつあったマレさんのコースに二人で行くことになった。私は内心「ボクと結婚するのが不安?」「神様にゆだねれば、すべてうまくいくはずじゃないか」と軽くムッとしたが、“不安”を解消しないわけにいかず、つきあうことにした。

 ところが、様々な質問に答えながらカリキュラムに従っていく中で、男と女の特性の違いが生む不幸は「わかったつもり」に過ぎなかったことを知ることになる。男女が無意識のうちに同じパターンで繰り返す対立や、双方が相手に望むことの違いなど、思い当たる節があった。妻も「夫の助け手となる」という役割を主にあって素直に理解できたという。そのほか女性は生理前の一定期間、情緒不安定になることを男性は受け入れるべきということもあった。カウンセリング後、その期間を意識してみると、確かに妻は普段より傷つきやすくなっていたし、原因がわかると妻がイライラしても同調することなく受け流すことができた。

 そうした男女間の違いを整理し、良い関係を保つ具体的な知恵をまとめたのが本書だ。セックスについても、男女の思いや行動の違いを具体的に挙げ、神様が結ばれた夫婦に与えられる深い喜びへの可能性も示している。久しぶりに読んでみると、妻への接し方は少しマシになった程度かなと反省しつつ、日常生活に埋没しがちな夫婦という関係が、実は神様の意図された調和の一端を味わいうる貴重な世界であることを思い出させてくれた。