私の子育てこれでいいの!? 第8回 ママ、しっかりね
グレイ岸ひとみ
わが家の双子はとにかくいろいろな人に愛され、チヤホヤされてきました。お店でも、道ばたでも、電車の中でも、行く所々で、「かわいいわね。お人形さんみたいね」と言われます。世界中の人に好かれている、と思っているのではないでしょうか。とくに女子高生のグループを見かけると、「こっちを見て!」と言わんばかりのかわいいしぐさで近づいていきます。瞬く間に二人は輪の中心。そして、携帯電話での撮影会が始まります。お姉ちゃんのれいあまでもが、「ほら、見て。あそこにお姉ちゃんたちがいるよ」と、妹たちのマネージャー役を務める始末。二人そろって幸せ者です。
双子に限らず、長女のれいあも、甘えることの居心地の良さを知ってるだけに、わがままがとおらないときや親以外の権威に注意されたときなど、がたがたとプリンセスのプライドが傷つき、崩れていきます。このことを甘えている子どもの問題ととらえていましたが、もしかして、親の成長が問われているのかも、と思う今日このごろです。(汗)
不自由なく、何でも揃い、選択肢がいろいろある環境で育った私です。無意識に過保護、過干渉になりかねないのです。しつけにおいても、あれダメ、これダメ、こうしなさい、ああしなさい、と答えを与え過ぎるのでは、と反省しています。
幼児期はたっぷり甘えさせ、愛情を表現してきましたが、自主性を育て、自立を促すことを妨げる「甘え」があることに気付きました。わがままともちがったこの不健全な「甘え」を、夫はlazy(怠け病)と英語で言っています。
最近ちょっとlazyが目立つわが家。考えてみると、親が子どもの代わりにあれこれすることや、解決を与えてしまうことは、はやくきれいにことが済むので都合がよく、結局は、親自身がlazyなしつけをしてるのかもしれません。
「いつまでも、待てない」、「後始末が面倒」、「泣かれずに済む」などなど、私も言いわけがあるのですが、「やってあげる」から、「一緒にやろう」そして「やってごらん」と少しずつ子離れしなくてはと思うのです。
れいあは、幼稚園併設の「アウトドアースクール」に四月から入館しました。週に二回、カイヤックとマウンテンバイクに乗っています。厳しい競技用の練習ではないのですが、先日、自転車の練習に行きたくないと、れいあは車の中で泣き叫んでいました。親としては、がんばらせたい気持ちと、いやなものをそこまでやらせなくてもと複雑でしたが、とりあえず連れて行きました。
先生は、「無理に参加しなくてもいいよ」と言って、ほかの子どもたちと出発しました。 しかし、五分もしないうちにみんな戻ってきました。ママがいるとれいあも甘えるだろうと思い、下の二人と車の中から様子をうかがっていました。「話し合った結果、やっぱりみんなれいあちゃんとがんばりたいと言ってるから、一緒に行こう!」。ほかのお母さんたちに手伝ってもらい、泣きながらもヘルメットをかぶり、半分怒って、れいあはお姉ちゃんたちに囲まれ、こぎ出しました。
一時間半が経って、みんな帰ってきました。笑顔のれいあも一緒でした。どうやら、底力が働いて、苦しくなったら自転車を押して登っていたいつもの坂道も登り切り、いっぱい遊んですっきりしていました。普段の生活では体験できない自信、がんばり、仲間への信頼を体いっぱい経験しました。そして何よりも、ママが自分の中の「甘え」に気づかされ、子どもたちに断ってもらった感じです。
きれいにバランスのとれたしつけなんて不可能ですよね。母親である私が甘えていて、忍耐不足で、認識不足で、愛も不十分です。親として子どもたちをしつける立場にある私こそ、神さまに愛され、もっと自立し、ほかのママさんや、専門の先生などの経験から学び、助けてもらわなければと痛感しています。ひとりよがりの(あるいは夫婦よがりの)子育ては、当然、どこか偏ってしまいます。多様な意見や体験にふり回されず、しかし、新しい視点や気づきを積極的に求めていきたいです。子どもの成長と共に親も成長する、と言われますが、ほんとにそうですね。
昨日、あわただしく寝る支度をしていたときのこと。
「れいあ、はやく、パジャマに着替えなさい。歯を磨きなさい。ほら、はやく! パジャマは!?」
ガミガミうるさいママ。
「ママ、ちゃんとやってるのに。その言い方止めて! 声もいやだ!」
「わかったよ。もう言わない。でも、はやくね!」
子どもにしかられた気分になりながらも、実は、子どもたちが寝静まった後に観たい映画があったのでした……。
ママ、しっかりして!