編集者より 37926
大学の文化祭で、仮装して校内を自転車でまわるというレースがあった。ぎりぎり3位につけた私に丸山忠孝氏より与えられた賞品は、一冊の書籍だった。それは、『日本人とユダヤ人』という「イザヤ・ベンダサン」が書いたものだ。そこには、私が持っていたキリスト教観とは全く異質なものがあり、何か違うと思いながらも反論すべき術を知らず、釈然としないまま読み終えた。あまりにも当たり前のことだが、「本」というのはすべて正しい訳じゃないんだ、ということを意識し始めた。期待はずれな賞品のうえに、悶々とさせられる問題を与えたその本が、結果として、私に読書の喜びを教えてくれたのだと、今、思う。(梶)