親子で読みたい不朽の名作 ◆子どもの心に本物の宝をプレゼントする幸せ

熊田なみ子
CRCメディア・ミニストリー「ほほえみトーク」番組パーソナリティー

『親と子の聖書』(『母と子の聖書』改題)全三巻の復刊を心からお祝いし、感謝いたします。最初に復刊のお知らせを受けたとき、うれしさがこみあげてきました。編集スタッフさんたちの熱心を支え導かれた主を賛美します。
この希望の物語が、再び家庭に、教会に、学校や地域の図書館に届けられるとは、なんと素晴らしいことでしょうか。大震災、そして異常気象も頻発し、不安な日本に生きる多くの方々に、本物の宝をプレゼントできるからです。

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CRCメディア・ミニストリーにおける私の番組作りも三十八年、放送伝道の世界もすっかり状況が変わり、ラジオで、ネットで、スマホで、電話でと、場所も時間も回数も自由に放送が聴ける時代が到来しました。
二〇〇二年四月から『母と子の聖書』(小峯書店/現在は絶版)の朗読をネット放送していますが、二〇〇六年からは、ホームページで過去の放送データも聴けるようになりました。またCDにまとめて番組プレゼントするようにもなり、入院中にCDを聴き続けてくださったとある牧師先生から、「入院中は何より聖書のお話が聴きたかった。ぜひ全巻読破してください!」とのことばもいただき、感謝でした。
この『母と子の聖書』は出版当時、全三巻セットで七五〇〇円。四十年以上前なのに、なんと今より値段が高かったとは! 私のこの本との出会いは、十代の終わりに教会学校の教師を始めたころのこと。尊敬する先輩教師の姉妹がこの本に感動し、「このまま読みます」と、子どもたちに読み聞かせをしたのです。「えぇ? この本を読むとそこまで思ってしまうの?」と、私はその姿が忘れられず、いつもそばに置いて、息子と娘の子育てや教会学校のお話の準備に用いてきました。
それからどのくらい経ったでしょうか。絶版となり、この本を入手することができなくなってしまったのです。この物語が消えてしまうのが残念だった私は、許可をいただき、二〇〇二年から毎月一回、番組内で朗読を始めたのです(ホームページ「ふくいんのなみ」のネット放送「ほほえみトーク」)。
遥かかなたの頂は雲に包まれて全く見えないけれど、とにかく出発し、キリストに生かされているいのちの時間を一歩一歩踏みしめて、この物語を残していきたい。どこまで登れるか分からないし、途中で嵐になったり、落下事故が起こるかもしれない冒険だけれど、主がともにいて歩んでくださるのだから、という決断でした。
最初は「クリスマスからイースターまで」を朗読したいと願っていました。ところがリスナーから、続きもぜひ聴きたいとのリクエストがあり、続けて「使徒の働きからヨハネの黙示録」までを朗読することができました。この「小さな朗読会シリーズ」は、通算百回目となる二〇〇七年十二月に、ピッタリ新約聖書が終了。「新約読破です。あぁ神様。なんとグッドタイミング。本当にここまで守られ、感謝です」
ホッと一息と思っていたら、またリクエストが届き、旧約もあるならぜひと。そして、朗読を始めて十年以上が経ちました。現在はダビデ王の物語を放送中です。あなたも少年ダビデの物語を聴いてみませんか。聖書の世界に入り込んで、美しいダビデの竪琴の音色が聞こえてくるかのようです。わくわくし、心が躍るようなひととき。
神様がお許しくだされば、いつか全巻読破達成の日が与えられることでしょう。いのちは主の御手にありますから、みこころのままに委ねています。

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私の手元には、初版当時の三浦綾子さんによる推薦文があります。「キャスリン・ヴォス……夫人は、わが子に与えるべきものを知っていた。それは心の糧である。夫人にとって、心の糧とは聖書であった。しかし、聖書物語でさえあればどれでもいいというわけにはいかない。それは第一に、霊感に満ち神の言葉に忠実であること。第二に、物語としての盛り上がりと、人間的な暖みを備えたものでなければならなかった。だがそのような理想的な聖書物語は、どこにも出版されていなかった。キャスリン・ヴォス夫人は、この世にまだ理想的な聖書物語がないと知ると、敢然と自らペンをとったのである。読ませるに足るものがなければ、自分で書くより仕方がないと思ったのである。なんと心打たれる信仰の母の姿であろう。その高い深い母性愛に、わたしは先ず強い感動を与えられた」子どもたちの心に本当に必要な宝をプレゼントしたいですね。この秋にはわが娘も嫁ぎ、また希望の物語が次の世代へと語り伝えられていくことでしょう。私たちを取り巻く情報は、この十年で数百倍にもなっていると言われますが、この復刊された『親と子の聖書』が、主の祝福の中に豊かに用いられ、ますます多くの読者が起こされますよう心から願っています。

◇新しく生まれた聖書物語
『バイブル・ストーリー・ブック』
内田みずえ 著 上條滝子 イラスト
各1,470 円
2冊セット 2,940円

 2012年6月に発売された日本人著者による上下巻の聖書物語。旧約聖書、新約聖書、全66巻の概要をすべて網羅しながらも、2冊にコンパクトにまとめられている。地図や図表、イラストなども充実。ルビもふられているので、自ら読む聖書としても、小学生高学年以上の人々にすすめたい。