金子清和
バンクーバーめぐみバプテスト教会牧師。

　世の中でもてはやされている一般的な恋愛のかたちはギャンブルと同じで、結婚にゴールインする確率が低く、さらに様々な危険性を含んでいます。

　その危険性の最たるもののひとつは、破局した場合の心の傷とその後遺症でしょう。既婚者の離婚だけでなく、独身者の恋愛の破局も当事者の心に深い傷をもたらします。ひどい時にはそれが理由で傷害事件に発展したり、人間不信に陥って心の病になったりなど、それらの問題からの回復に、多大な時間とエネルギーが費やされています。体の傷に比べ、心の傷は深いところにおよぶと本人も気づきにくく、その人の一生に深く影響を及ぼします。

　もうひとつの危険は不倫の助長です。どんなに熱く燃える恋もやがて冷めます。そんなとき、独身時代に味わった恋愛の甘味さに触発されて他の異性に恋が芽生えると、それが「純粋な不倫」へと発展して行きます。何年か前のフジテレビの調査によると、四七％の主婦が夫以外の男性と恋愛をしたいという願望をもっているそうです。不倫とは既婚者の配偶者以外の人との恋愛で、今日ではそれを「新しい愛のかたち」と評し、一般化されてきています。

　たしかに、どんなかたちで結婚したとしても破局や不倫の可能性があるでしょう。しかし、恋愛時に分泌される神経伝達物質に依存的になりやすい恋愛結婚は、人を盲目にし、その可能性を飛躍的に高めます。ほかにも「可能性の束縛」や「責任感が薄いまま親密さだけが増していく」といった問題がありますが、恋愛結婚は様々なリスクをはらんだ賭けといえるでしょう。