風色のカレンダー 9 おうちカフェ

おうちカフェ
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家

 最近、忙しさの中で「心地よい空間」の大切さを感じています。「かわいくてきれいなおうちにお住まいなのでしょうね」と言われることがありますが、現実はそのようなイメージからほど遠いものです。クラフトの仕事は、もともとダイニングテーブルひとつから始まり、今も私のアトリエは、家族の行き来するリビングルームなのです。

 子どもたちの背丈の成長を印した柱。少し不恰好な自作の棚。そして庭のハーブの花が差してある小さなジャムの空きびんなど、なんとなく雑然としています。でもそんな中で、何かが生まれる創造のにおい、家族の温もり、自然のやさしさや力強さを感じています。もしかして、それが私のイメージしている「心地よい空間」なのかもしれません。

 「おうちカフェ」という言葉を、よく耳にするようになりました。高級ではないけれど、手作りのおやつや飲みものがあたたかいおもてなしのエッセンスとなり、訪ねてくれた人に居心地のよさを提供できる、そんな「おうちカフェ」を、そろそろ開店(?)してみたいと願っているこのごろです。