高校生のためのエッセイ
永遠志向 第2回 モノがほしい!?
荒井恵理也
高校生聖書伝道協会(hi-b.a.)スタッフ
「グローブがほしい!」それが最近のぼくの願望です。なぜならお店で新品のグローブを見てしまったからです。ある高校生に「今、何がほしい?」と質問したら即答されました。「彼女!」きっと彼の周りにはカップルが多いのでしょう。
日本は豊かでモノにあふれています。モノがあるとほしくなります。その存在を知らなければほしくもならないのに、雑誌などでその存在を知ってしまったばかりに、ほしくなるなんてこともあります。
私たちは、ほしいモノはいくらでもすぐに挙げることができますが、だれかにあげることができるモノをリストアップしようとすると、困ってしまいます。小さな親切ですら出てこないということもあり得ます。
私たちには、モノがないのでしょうか? 私たちにはモノがないのではなく、ゆとりがないのかもしれません。与えることのできるモノをたくさん持ってはいるのですが、何ができるかを考える時間がない、もしくは考えるということを知らないのです。
『望みの朝を待つときに』を読み、日本の高校生がイラクの子どもたちへサッカーボールを贈ったストーリーを知りました。戦火の中、ゴムボールでサッカーをしているイラクの子どもたちに本物のサッカーボールをあげたいと、日本の高校生たちが、看板やチラシを作り、駅前で募金を集め、メッセージとともに贈ったのです。この高校生たちは、おそらくクリスチャンではないでしょうが、その生き方は、聖書の模範に限りなく近いように思います。
私たちは物質によって構成された終わりある世界を生きています。この本の中で、サン・テグジュペリの『星の王子さま』の有名なフレーズが引用されています。「かんじんなことは目に見えないんだよ」。
目に見えるモノに価値があるこの社会の中で、この厳かな事実を知り、その目を永遠に続く神の国に向けて生きることにこそ価値があると思うのです。