高校生のためのエッセイ
永遠志向 第5回 結婚の嬉しさは

荒井恵理也
高校生聖書伝道協会(hi-b.a.)スタッフ

“カノジョいない暦十八年”そんな勲章を背負っていた高校生時代、彼女のいない自分が恥ずかしくていたたまれない気持ちだったことを覚えています。そのころは付き合うことと結婚することのふたつを混同し、現実離れした「結婚」に憧れていました。早く彼女がほしくて彼女ができたら友だちに自慢する、そんなありふれた考え方にボクもばっちり呑まれて生きていたんですね。

 高校を卒業したらすぐ結婚したいとか、一緒に住みたいとか、好きなだけで結婚するなんて聞くと昔の自分を思い出して溜息が出ます。何も知らずただ“結婚ごっこ”をしている子どもです。でも、冷めたら別れればいいとか、自分の時間がなくなるとか、お金も自由に使えないなんて言って、結婚に何の期待もしていない大人に比べたら、まだましかもしれません。

 『真実の結婚を求めて』の中に、リベリアの教会で結婚の記念として若いカップルに贈る、結婚を象徴した彫刻の写真が載っています。男性と女性をモチーフにした二つの彫刻が、完全に独立しながらも木製の鎖で繋がっていて全体でひとつの彫刻になっています。これはひとつの木を削って作ったので継ぎ目がありません。結婚の本来的意味を現しているということです。

 結婚の喜びって、ひとつの存在であることを実感していくところにあるのかなって思います。初めて彼女ができたときは、確かに嬉しかったけど、神様が与えてくださった、ただひとりの人と迎えた結婚式の嬉しさはまったく次元の違う感動がありました。子どもが与えられてその顔を見たときの嬉しさはそれ以上です。実はその「嬉しさ」は、「カレシカノジョ」の関係とはまったく別のものです。そしてその「恋愛」はやがて味わう「嬉しさ」を壊してしまうことがあると知ってほしいのです。

 高校生に結婚の本を勧めるのは、早すぎるとは思いません。世の中のゆがんだ結婚観が身についてしまう前に、健全な結婚観に触れてほしいです。でもこの本、高校生が買うにはちょっと値段が高いですよね。だれかこの文章を読んだ大人が高校生にプレゼントしてくれないかなぁ。