3・11ブックレットシリーズ刊行!
震災後、日本はどう変わったか ■虐げられている人たちの声に

内藤新吾
日本福音ルーテル稔台教会牧師、「原子力行政を問い直す宗教者の会」事務局メンバー

この書は、いのちのことば社から声をかけられて書きました。しかしあまりに忙しい毎日でしたので、結局、構想は約一か月間ボンヤリと頭の中で考えたりしましたが、執筆したのはクリスマス礼拝が終わった翌日から元旦礼拝二日前までの五日間でした。一気に書けたのは、普段からの想いが強かったからでしょう。しかし編集担当の方には、いきなり正月休みを返上しての校正で、ご迷惑をかけました。

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 私が原発問題に関わったきっかけは、牧師としての初任地の名古屋で、野宿日雇い労働者の支援をする中で出会った年配の男性が、教会に毎週二回通われるようになり、その方がじつは被曝労働をくり返されたことと、その非道な仕事内容をお聞きして、これは何とかしなければならないと強く思ったことによります。彼の存在は伏せて、教会の内外で学習会や様々な活動を開始しました。そしてどういう巡り合わせか、それから十年ほどしてから、私は浜岡原発(静岡県)にほど近い教会へ赴任することになりました。
 浜岡原発の近くに行ってからは、お金のアメとムチとが交差する地域であることを実感しました。そしていよいよ、キリスト者、しかも指導者として、自分は虐げられた者の側に立ち、声を上げたくても上げられない人たちの代弁者となるべきであることを強く思わされました。
 この書は、そうした方々との出会いによって得た情報を、皆さんにお分かちしたものです。拙い書ではありましたが、すでに多くの方々が手にされ、今まであまり知られることのなかった世界について、関心や意見を持ち始めていただけていることは大きな感謝です。皆さんの力が未来を変えていくでしょうし、そのことを願っています。

『キリスト者として“原発”をどう考えるか』
内藤新吾著 80頁 735円

ないとう しんご
1961年、兵庫県生まれ。日本ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル掛川・菊川教会時代には、「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」役員も経験。現在、日本福音ルーテル稔台教会牧師、「原子力行政を問い直す宗教者の会」事務局メンバー4人の一人。