21世紀の伝道を考える 7 インターネット伝道のもつ豊かな可能性

山下 正雄
キリスト改革派教会 メディア・ミニストリー 日本語部 主事

「メディア」とは本来「媒体」を意味する言葉です。その媒体を使った伝道というのは、キリスト教会の歴史と同じくらい古いといってもよいかと思います。

 コロサイ人への手紙の中に「この手紙があなたがたのところで読まれたなら、ラオデキヤ人の教会でも読まれるようにしてください。あなたがたのほうも、ラオデキヤから回って来る手紙を読んでください」(四・一六)という文章が出てきます。直接出向いて伝えるべきことを、パウロは二通の手紙を書いて、それぞれ諸教会に回覧させたことがわかります。これは「紙」という媒体を使ったメディア宣教といえます。これによって福音が飛躍的に進展したことは言うまでもありません。もし彼が現代に登場したとすれば、様々な媒体を駆使して宣教したにちがいありません。

 さて、私たちCRC(キリスト改革派教会)メディア・ミニストリーは、北米キリスト改革派教会の宣教活動の一環として、メディアを用いて福音宣教の使命を力強く推進しています。そして、それを通して神と人とに仕えることを心から願っています。

 数あるメディアの中で特に私たちが用いているのは、電気的なメディアです。具体的には、一九六七年一月から放送を開始したラジオ番組「あさのことば」を皮切りに、現在では中波、短波、デジタル衛星、ケーブル放送などを用いて「あすへの窓」「キリストへの時間」「バイブルウェーブ」などの番組を提供しています。日本のキリスト教界諸団体の中にはすでに五十年以上の放送伝道の歴史を持つところもありますから、私たちの日本での働きは後発組ということになるでしょう。

 ところで今、「放送伝道」という言葉を用いましたが、これにはラジオもテレビも含まれます。私たちは、二年前まで「ラジオ伝道部」と呼んでいましたが、二十一世紀を迎えるにあたり「メディア・ミニストリー」と改称しました。その最大の理由は、利用しているメディアが「ラジオ」「電波」「放送」といった言葉ではとらえきれなくなっているからです。特に一九九七年七月から開始したインターネット伝道によって電気的なメディア伝道に大きな変化が生まれました。そこで以下、インターネット伝道について記したいと思います。

 この媒体がいかに急速に広まったかということは、他の通信媒体が日本の全世帯のうちの一〇%に普及するまでにかかった年数を比較すると明らかです。ファックス十九年、携帯・自動車電話十五年、パソコン十三年、そしてインターネットは五年です。わずか五年にして、十世帯に一世帯はインターネットを使える状況が生まれました。こうした急速な普及率の上昇を考えると、よい意味でも悪い意味でも、その大きな影響力を無視することはできません。

 このインターネット伝道は、具体的にはホームページとメールを使った伝道ということになります。ホームページは文字をはじめ、画像(静止画・動画)、音声を扱うことができますから、雑誌・ラジオ・テレビとほぼ同じことができると考えられます。また、メールは紙の手紙が電子の手紙になったというだけではなく、電子的なマガジンのように用いることもできます。

 こうしたことは、ある面で別のメディアでしていたことを、新しいメディアに置き換えただけかもしれません。しかしコストを考えれば今までできなかったことをインターネットでは簡単に実現します。これはどんな小さな教会でもアイディア次第で大きな伝道の働きをすることができるということなのです。

 もう一つ、テレビやラジオとは違うメリットがあります。ホームページの訪問者は目的意識をもって検索サイトから探し出して訪ねてくる人が大多数です。つまり、訪問の段階で、かなりキリスト教に関心がある人を対象にできるということです。アクセスログに残された記録をたどると、そのような訪問者の中には大企業や政府機関、研究機関といったサーバからアクセスしていることもあります。もし、こちらからその時間帯に訪問伝道に出かければ、門前払いをされてしまうような相手でも、向こうから訪ねてきてくれるのです。これは今までの伝道には考えられなかった新しいパターンです。

 さて、よいことばかりを書いてきましたが、インターネット伝道にはこれからの課題もたくさんあります。次回はその点をとりあげたいと思います。      (つづく)