300号記念特集 本で逢えたら コラム 読書で聖書の豊かさを知る
丸山 光
茅ヶ崎聖契キリスト教会牧師
「楽しみは珍しき書 人にかり 始め一ひら ひろげたる時」と橘曙覧は歌いました。
新しく購入した本を拡げる時の、あの思いは何物にもかえがたいものがあります。私にとって至福の時は、また実際的な仕事の時でもあります。牧師の仕事は本を読むことによってなりたつ働きです。一人の人が成したその生涯の業績を書物という形で分かち合ってもらえ、自分の中に取り入れ熟成させていく。時によってはそれを説教という形で語らせていただく、本当はそのために読む本も多いのですが。なによりも読書することによって、さらに聖書の豊かさを知らされます。そういうわけで、私にとって読書は趣味と実益を兼ね備えたものです。
また信仰書以外の読書も、狭くなりがちな人間関係の広がりを求めて、自分の生きるこの世を知るために、欠かすことが出来ません。もっとも現在は本という形だけではなく、その媒体は多様化していますので、読書という形にこだわることもないとは思います。本だけで育った世代としては、このたびハドソン・テーラーの「霊的奥義」が出版されましたが、そのボリュームに時代を感じています。
購入だけして、未読の蔵書を見ていると、本当に必要だったのか、ただ買いたかったという欲望だけだったのか、自問自答したりすることもしきりです。