CD Review ◆ CD評 「クリスマス・キャロル」

「クリスマス・キャロル」
小堀英郎
ピアニスト

闇に輝く光

 この季節になると、どこのデパートもクリスマス商戦で新しい企画の商品が多く発表され、レストランではクリスマス特別メニューを売り出し、予約受付の広告が飛び交う。

 また豪華な飾り付けをしたイベントがあちこちで催され、一年を通じて一番美しい華やかな「祭り」となっている。そんな中、クリスマスの本当の意味をまだ知らない人々に是非届けたいミニアルバムがここにある。

 今、第一線で活躍する五人の女性シンガーによるクリスマスキャロル集で、それぞれ異なるスタイルのアーティストが主イエス・キリストのご降誕を祝い、その一曲一曲に特別な思いを込めて歌われているのを感じる。

 心に響く重厚なサウンドで奏でられる名曲「アヴェ・マリア」から始まり、軽やかなギターの音の粒が優しい歌声を引き立てて救い主メシアを待ち望む。

 この世の何にも比べられない最高の贈り物の秘密が歌われ、闇に勝利した光の到来を告げる。そして最後に聞く「きよしこの夜」は、これまでとは違った聞こえ方がする。

 クリスチャンにとっては、賛美歌に「慣れて」しまっているがために、忘れかけていた本来の喜びの原点を再び見つけることが出来るアルバムである。

 どの曲も、まるで初めて感動を覚えたかのような新鮮さが印象的で、何度も聴きたくなる。今日もこの地上を照らし、私たちをおおっている光のサウンドである。こういうアルバムが欲しかった、これを聴かないとクリスマスを迎えた気がしないという人も少なくないのではと思う。きっと子供から年輩の方まで世代を越えて親しまれるはずだ。家庭で、通勤通学で、ドライブで、書斎で、デボーションで用いられることを願う。また、CDジャケット内側には、メッセージを書けるスペースもあり、クリスマスの本当の喜びを伝えたいあの人に、メッセージを添えて贈りたい一枚だ。