CD Review ◆ CD評 「溢れる神の愛」をあなたへ
大谷康二
株式会社デュオ・プランニング 代表取締役
吉村美穂さんのニューアルバム「アウスリーベ―愛ゆえに―」には、クラッシックの名曲から、讃美歌、聖歌、オリジナル作品に至るまで、バリエーション豊かな魅力が満載です。オープニング曲「Vocalise」と九曲目の「血潮したたる(讃美歌一三六番)」では、ステンドグラスを通し、天空から光が降り注ぐような美しいハーモニーを聴くことができます。その伸びやかな歌声は崇高なまでの聖さとともに、湖の水面を渡る風のようにさわやかな印象を残します。
彼女は端麗な容姿から、一見クールな印象を与えますが、実はとても気さくで人懐っこい性格です。彼女と話すとだれでもすぐに打ち解けて、旧くからの友人のように思えます。五曲目の「ほら! 君のために」では、そんな彼女のコケティッシュな魅力を味わうことができます。
華奢な印象の美穂さんですが、ハードスケジュールであっても、神様が導かれるところなら、国内外を問わず何処へでもすぐに飛んで行き、賛美をされています。
彼女を突き動かすエネルギーの源泉を、オリジナル曲「小さな光」、「とびら」と「My Prayer」に見い出すことができます。まだ神様を知らずに暗闇の中を歩んでいる方々に、自らの体験を通して知った「溢れる神の愛」と「永遠の希望」を伝えるために、すべてを捧げる覚悟をつづっておられます。艶やかな中にも、強い思いを込めたソプラノヴォーカルを、野田常喜さんの繊細なピアノサウンドと絶妙なアレンジが包み、さらなる高みへと引き上げています。
表題曲の「Aus Liebe (マタイ受難曲より)」では安念恵さんのフルートの温かな調べが、聴く人の心に寄り添うようで自然と涙が溢れてきます。アルバム全体を通して、神様がどれほど私たち一人ひとりを愛してくださっているかを感じることができます。クリスチャンミュージックを初めて聴かれる方にも自然に受け入れられるアルバムですので、あなたの大切なご家族やご友人へのプレゼントにも最適だと思います。