CD Review ◆ CD評 「現代賛美歌」(CD、楽譜集)
牧 岳司
柏福音自由教会 牧師
歌う賛美から伝える賛美へ
詩を包み込むような豊かで繊細な歌唱力を持つ国分友里恵さんの待望のCDが、新たに発売されることになりました。CD三枚組の中には六十六曲+一曲もの賛美が収録されており、一曲一曲に主への信仰と愛が綴られている深く心にしみる作品です。賛美に耳を傾けながら、まず、その歌詞に表された国分さんの信仰の姿に感動を覚えました。「賛美は歌うのではなく、語るものだ」と聞いたことがあります。歌い手である国分さん自身の信仰の告白が、この賛美集に込められている事を思いました。神様との深い関わりの中であたえられる「言葉」が歌となって、主の前に捧げられてゆく。まさに賛美の中に住まわれる主に出会う、主にまみゆる時間を、この賛美集を通して改めて感じさせられました。混迷の時代に、色々な苦しみ・不条理・悲しみを体験させられる私たちにとって、主を見上げ、主の臨在に身を浸す、これ以上の豊かさは、どこへいってもないでしょう。
また、もう一つ。私が感動を覚えることは、この「現代賛美歌」シリーズが歌詞の意味が分からないということで賛美歌を敬遠しがちな世代にとっても、分かりやすい言葉を使って、賛美歌の良さをまっすぐに伝えたいという国分さんと岩本さんの心意気です。
牧師として最初に奉仕をした教会では、集会の際リビングプレイズが使われていました。それは従来の賛美歌や聖歌では、その歌詞の意味が会衆に伝わりにくいと考えた宣教師の先生の配慮からでした。
時々、賛美歌の歌詞について聞かれ、即答できないことがあります。その度に、賛美歌の歌詞が自分とはかけ離れていたということに気付かされ、反省させられるのです。ですから、誰もが理解でき、意味が通じる歌詞を賛美するという現代賛美歌の試みはとても素晴らしいことだと思わされるのです。
音があふれる日常のなかで、私たちが、いつも美しいもの、良いものに心を浸し、真の安息を覚えるために、この現代賛美歌シリーズが用いられることを期待しています。