早矢仕 宗伯
日本福音自由教会協議会・東京武蔵野福音自由教会牧師

みことばを聴くために

　みことばは、読むものではなく、聴くものである、と言うことをどこかで聞いたことがあります。現在の日本のように、誰もが聖書を手にして読むことが出来るようになる以前、聖書は朗読され、人はそれを聴いていたのです。まさに神のことばを聴いていたと言うのです。

　今、私たちのコミュニケーション、お互いの思いを伝え知る主たる手段が文字になっていることを感じます。メールでやりとりしていることを「話す」と言うことがあります。しかし私は、文字は果たしてことばなのだろうかと思います。ことばとは、私たちの唇から発せられるもの、発音され音声になり、はじめてことばとなるのではないかと思うのです。ことばは、もともと目に見えるものではなく、また、目ではなく、耳で受けとめ、心に感じるものなのではないかと思います。

　今回、発売されたCDを聴きながら、自分自身の中に驚くべき発見がありました。それは、私自身がことばを聴くこと、ことばを聴いて心に感じ、たくわえることが出来なくなりつつあると言うことです。目で文字を追い、理解することに慣れてしまい、聴く力が衰えてしまっていると言うことです。目に見えるものがないと、心許なく感じてしまう自分がいたのです。

　このCDは、朗読だけではなく、BGMが入っている分、とても聴きやすくなっていると言う印象があります。音楽により感性に働きかけ、心をリラックスさせ、みことばを聴くことに集中させてくれるように思います。そして、私たちの信仰の在り方、特に神のみことばに聴くと言う生活に新しい風をおくり込み、チャレンジを与えるものになるのではないかと感じます。この耳で、理性だけではなく、感性で神のことばを聴くと言う経験をさせてくれる貴重な一枚であると思います。