CD Review ◆ CD評 「WE ALL ARE ONE LIVE IN DETROIT」
塩谷 美和
ゴスペルシンガー・ディレクター
すべての造られた者に福音を!
三年前に続き、先月ドニーが来日した。今回は五月五日のコンサートに向け、約五百人の参加者を集め三日間のワークショップが行われた。このCDからは四曲が取り上げられ、前回の曲と合わせ計十三曲ほど歌った。その内半分は日本語で歌われ、ドニー自身も積極的に日本語でリードを歌い、前回同様「その国の言葉で」という徹底ぶりは健在だった。収録曲の「You Are My God And King」や「Hallelujah Song」では、スペイン、フランス、オランダ、ヨルバ語(ナイジェリア)と各国語で歌われ、ドニーが世界に出て行っている姿が見える。また言葉だけではなく、ワーシップソング、ラテンR&B、ロック、オーケストラなど、さらに様々な音楽スタイルを取り入れ、人種のるつぼと言われるアメリカ国内での活動視野も広い。そんななか、「The Great I Am」は黒人教会の典型的なプレイズ&ワーシップで、まさにドニーのお家元。
ワークショップ中、曲が作られた経緯などを分かち合ってくれたが、特に印象深いのが「Choose To Be Dancing」だった。昨年十一月に姉のオリヴィアを癌で亡くした時、ドニーは深く悲しんだ。しかしその悲しみに留まることを選ぶより、喜び踊り続けること、神のために歌い続けること、愛に生きることを選ぶ、という思いを綴った曲だ。
ゲストはよく知られている顔ぶれのなか、CD中、唯一の他者曲「Purple」で、作曲者ダーリン・アットウォーターと彼のオーケストラ&コーラス隊のSoulful Symphonyを招いている。アフリカン・アメリカンによって構成され、彼らの文化や音楽をオーケストラに反映させている楽団だ。
世界で、アメリカで、国境を超え、人種を超え、世代を超え、教派・教団を超え、音楽ジャンルさえも超えて、神への賛美によって一つのメッセージを伝えようとするドニー。「私達は皆、主にあって一つ」。それは、イエスが捕らえられる直前の祈りでもある。いろいろなタイプのゴスペルを聴きいてみたい、と言う方に、お勧めの一枚です。