CD Review ◆ CD評 『君からの景色』

CD『君からの景色』
ジョシュア佐佐木
ゴスペル音楽院 学長

レトロでおしゃれなパリの街角をイメージさせるサウンド

 「わたしは神からの愛やメッセージは、人や自然を通してよってくると感じている。

 もちろん聖書をしっかり読むことや礼拝に出席すること、祈りの時間を持つこと、そういった信仰生活こそ、神との対話の中心に据えられるべきである。しかし、何気ない日常の中にもまた、目を覚まし、耳を傾けることで、見えてくる、聞こえてくる創造主の姿や言葉があると思うのだ」 このように語る原田君が、平凡な日常をごく普通の目線で切り取り、ひとりのキリスト者として表現した心があたたまる八曲のCDが発売されました。

 福音音楽家には大きく分けて二つの役目があると思います。

 ひとつは、直接的に神を賛美し、会衆を礼拝へと導いてゆく奉仕、もうひとつは、キリスト者として音楽を通して、広く社会に対して表現してゆくことです。このCDは、後者にあてはまるものです。直接、神を賛美しているのではありませんが、イエス・キリストをまだ知らない、キリスト教会に興味のない人達にも共感を与え、福音伝道の入口になることのできる音楽であると言えるでしょう。

 フランス仕込みのSIESTAは、九二年、パリで結成されたバイオリンの高橋じゅんとアコーディオンの山口あかねによるデュオ。そして原田博行はアコースティックギター弾き語りスタイルで、七〇年代フォークを彷佛とさせるシンガーソングライター。肩の力の抜けた彼の優しいボーカルが、少しレトロでおしゃれなパリの街角の風景をイメージさせてくれます。  現代の若者は、自分たちと同じ目線で物事を感じ、表現するアーティストを求めています。

 原田博行 with SIESTAは、まさにこれからの若者伝道にうってつけのアーティストと言うことができます。活躍を応援していきましょう。