CD Review ◆ CD評 『LOOK TO THE SKY』
大倉 寧
日本福音キリスト教会連合 大月福音キリスト教会 伝道師
「9.11」へのメッセージが込められたファーストクラスジャズアルバム
スティーブ・サックス氏と妹(注・バイオリニストの大倉めぐみさん。本作にも参加)の話の中で、このアルバム制作にあたって「やはりニューヨークでなければ!」ということになったという。日本に住む氏にとって「日本で作るのも悪くないのでは?」とも思ったが、本作を手にして、その理由が、素人の私にも少しわかったような気がした。世界ナンバーワン白人ベーシスト、ジョン・パティテューチ。マンハッタン・ジャズ・オーケストラでお馴染みのドラマー、テリー・シルヴァライト。その繊細なプレイには定評があるジョン・カウハードはニューヨークの若手ナンバーワンのドラマー、ブライアン・ブレイドのピアニストとしても有名。私もマンハッタンのジャズクラブでそのプレイに、お目にかかっている。これほどのアーティストの参加は、ニューヨークレコーディングでなければ実現不可能であっただろう。日本人参加アーティストも多彩である。鈴木良雄氏は故アートブレイキー・ジャズメッセンジャーズに参加した日本を代表するジャズベーシストの一人。国分友里惠さんは、音楽シーンの第一線で活躍するボーカリストであることは言うまでもない。またよく考えてみると、東京では、サックス氏の演奏が比較的簡単に聴くことができるので身近に感じてしまうが、彼自身それだけ国際レベルで優れたプレーヤーであることを忘れてはならないだろう。それはサウンドにはっきり現れている。とにかく多彩で、すごいメンバーが参加しているアルバムだ。
日本の名曲ポップス「上を向いて歩こう」がタイトル曲だが、こんなにすばらしいアレンジと演奏は今まで耳にしたことがない。選曲には、クリスチャンとして、ニューヨーカーとして「9.11」についてのメッセージが込められている。このことはアルバム中の彼のコメントを読んでほしい。
とにかくクリスチャンのジャズファンは必聴。もちろんあまりジャズには興味がないという人にも聴いて欲しい。ジャズ好きのノンクリスチャンの友人がいる人は、このアルバムを紹介することを通して良い証しができるだろう。