CD Review ◆ CD評 『LYRE 2001』
いつもともに

CD LYRE 2001いつもともに
塚田 泰司
日本伝道福音教団 高田聖書教会 牧師

正直な信仰の息づかいから生まれた奇跡の物語

 リラのメンバーは発足当時、東京基督教大学の学生たちでした。グループができた一九九三年、学園祭での賛美を聴きに行きました。広い中庭での野外コンサートでしたが、芝生に腰をおろして聴いている人は、ポツリ、ポツリ、通り過ぎて行く人は大勢いても、立ち止まってくれる人はあまりいませんでした。しかしほのぼのとした、まじめな賛美は心うつものがありました。

 その後教会に招かれたり、夏休みには、沖縄への賛美ツアーに参加したりしましたが、卒業する一九九六年三月解散し、それぞれ遣わされた地に散って行きました。その前に最後の記念として、献身的な友人たちの協力で最初のCDが出されました。そして全員異なる教団の牧師、牧師夫人、伝道師になり、解散したはずの彼らが、様々な要請から、年何回かのコンサートを行い、二枚目に続いて、今回三枚目のアルバムが発売となったのは、まるで奇跡のようです。

 リラは、ピアノ伴奏だけで六人がコーラスという単純な編成です。しかし不思議と新鮮な響きを持ち、若者から中高年まで広く受け入れられている、その理由は何でしょうか。

 一つは歌詞にあります。その源泉は「神学生」ということです。「神学生」とはとことん神様と向き合い、自らの弱さと醜さをつきつけられる者です。その苦しみと叫びの中での神様の助けと信頼、感謝を詩に表現し、歌っています。こんな正直な信仰の息づかいが多くのクリスチャンの共感を得ているのではないでしょうか。

 そしてもう一つはすばらしいハーモニーです。これほど「息の合った」賛美は聴いたことがありません。新しい曲を練習するとき、まずメロディをテープで聴き、それぞれが自分のパートをどのように歌うか決めていきます。そして六人がまったく楽譜なしで合わせます。つまりそれぞれが一緒になって創作しているのです。

 ぜひ一度聴いてみてください。何気ない賛美と思っているうちに、その世界に引き込まれています。そして二度目には、一緒に口ずさんでいることでしょう。