CD Review ◆ CD評 『Now’s the Time』
Meg
ゴスペル・シンガー&クワイア・ディレクター
日本人による日本人のためのブラックゴスペル
日本でブラックゴスペルに影響を受けたクワイアができ始めた頃、それまでセキュラー音楽シーンで活躍していたミュージシャンたちがゴスペルクワイアーに所属し、救われ、二〇〇〇年頃には様々なグループが誕生した。藤波さんが「The 246 Victory Fellowship Choir」 を始めたのもその頃で「日本語のオリジナルゴスペルを歌う」というポリシーをもつ、他のゴスペルクワイアとはちょっと違うユニークな存在として注目されていた。誰も日本語で、しかもオリジナルを歌うことなどなかったとき、すでに始めていた先駆者とも言える。英語がペラペラの彼がなぜ? とも思ったが、アメリカに中学生の頃からいて外国の文化の中で育った彼だからこそ日本人としてのアイデンティティーをしっかり持って日本語を大事にできるのだ。このアルバムを聴いてその謎が解けたように思う。
彼のユニークな経験、個性は曲にそのまま反映されている。その音楽性の広さに驚かされた。オープニングの「主のいる場所」、「絶えない」「Jesus, Come Stay With Me」などR&B色の強いナンバーが続いた後は、ぐっと日本寄りに「White Melody」「Don’t Walk Away」「変わらない君」、そしてアルバムタイトル曲「Now’s The Time」へ続く。「詩篇25篇」からはワーシップタイムへと導かれ、そして最後は、藤波さんが歌う「All I Want To Do」から、教会の礼拝なら頌栄にあたる「祝福あれ」で終わる。
全12曲中、「Joy To The World」以外はすべてオリジナル。聴く人の耳を飽きさせず、ぐいぐいと藤波ワールドへ、そして神の臨在へと引き込んでいく。
神様の前に出ると何も隠せない自分になるが、まさしく藤波さんは自分の言葉でありのままの自分をささげて主を賛美している! 「最後まで意地張ってかたくなな心も少しずつ温めて溶かしてくれたね」と主がしてくださったことを証しした彼の歌はわかりやすく、広く多くの人々の心を捕らえ、癒し、希望を与え、そんな神様に私も出会いたいと思わずにはいられなくなるようなアルバムだ。