CD Review ◆ CD評 『Stacie Orrico』(ステイシー・オリコ)
斎藤 和己
日本バプテスト連盟 中野バプテスト教会 牧師
「時の人」ステイシー・オリコ その豊かなメッセージ性
全世界を魅了するために生まれてきた十七歳、ステイシー・オリコが今、売れている。日本だけで六五万枚の大ヒット、来日コンサートは全国五大都市を巡るツアー。今や「時の人」となって様々なメディアに取り上げられている。しかしその喧騒の中で、彼女の信仰に根ざした詩のメッセージ性について語られることはほとんどない。シングル曲の「Stuck」や「More To Life」などは、十代の誰もが体験しうる傷や、心の葛藤を歌い同世代の共感を呼ぶ。しかし彼女が普通の一七歳でないところは、その傷や葛藤に対して神様への信仰というメッセージで自ら応えていることだ。
「すべてを捧げようとしたのにあなたがくれたのは嘘だけだったの」(Stuck)と、未熟な十代の恋愛を綴り、「探せたかもしれない、わたしを見捨てない誰かを。でも気づいたの、その必要はないことに。神様がいてくれる。」(Security)「神様は私の人生をそのみ手におき、すべてを覆した。絶望の果てで私はようやく理解できたの」(Strong Enough)と応えている。また「何ひとつ不自由はないのに何かが欠けている気がするの。舞い上がって、突き落とされて、虚しさが増すだけ」(More to Life)ともがきながらも、「なぜためらうの? 神様はいつも待ってるのに」(Hesitation)「主よ、傷ついたこの心を、犯した過ちを受け入れてください。すべてを捧げて私は世に示したい、あなたの偉大さを」(I Could Be The One)と与えられた賜物とチャンスを最大限に活かしたいという決意のメッセージがそこにある。
ステイシー・オリコは今の若者が求めているメッセージを歌にして伝えることができる素晴らしいアーティストだ。神様はいつも不思議な方法で働かれる。僕たちが思いもよらない方法で。僕はステイシー・オリコという存在が、「時の人」であると同時に、神様がこの時に選んだ器、伝道者だと感じている。ぜひあなたもこの機会にCDを買い、彼女のメッセージに触れて欲しい。