CD Review ◆ CD評 『You are Loved ── 愛されてるから』
アーサー・ホーランド
アーサー・ホーランド・ミニストリー 代表
あなたのハートとフィーリングのコードに触れる三上勝久のミュージックワールド
三上勝久にとっては四枚目のアルバム。「You are Loved―愛されてるから―」は、今までの奴の出したアルバムとはひと味もふた味もテイストが違う作品である。まずプロデューサーが一般の音楽業界でも活躍中の岩本正樹。彼の妥協のないクリエイティブなチャレンジ精神によって一流のミュージシャンとのコラボレーションを可能にし、繊細かつダイナミックなアレンジメントによって今までにない三上勝久のミュージックワールドを作り上げている。
三上とは俺自身、国内、また海外でも様々なセットアップの中で共演しながら、もう早十年がたとうとしている。奴は百数十名の部下を抱えた部長の時代から、バブルの崩壊によって倒産を経験し、自分自身で独立して食品会社「味工房」を設立し、不器用ながらも社長という肩書を持ちながら、この不況といわれる時代を歌と共にここまで乗り越えてきた。自分を臆病者であると自認しつつ、商売も信仰も神も客も、二元性ではなく一元性の中で、もがき苦しみながら人生の荒波に捨て身で戦って生きている奴でもある。奴にとって詩も曲も、自分の体験と心の証しなのだ。
このアルバムの中には奴の純粋さと素直さが、今まで以上にはないしゃれた感覚で表現されている。今までの奴の歌は一見、長渕剛なみの迫力を大橋巨泉の風貌で歌う男だと、俺もよく人前で紹介していたが、今回のアルバムを聴いた印象は「三上も本当に歌がうまいんだなあ」だった。心と体で必死に生きる奴の歌がきっと、聴くあなたのハートとフィーリングのコードに触れると俺は思う。
ちなみに「Nineteenth Avenue Memory」「Lord’s Angels」「俺の友はC型肝炎」は俺が書いた詩である。国分友里惠や上原令子、岩渕まこと、またコーラスで歌ってくれた仲間の友情によって生み出されたこのアルバム「You are Loved」。ぜひ聴いて欲しい!