CD Review ◆ CD評 そよ風吹く ―約束の地

『CD PROMISED LAND  』
サムエル
シンガーソングライター

 ミギワさんの三年ぶりのオリジナルアルバムがついに完成した。ソロアルバムとしては四枚目となる作品。
今回は、アコースティックギターをベースにした完全書き下ろしのオリジナルアルバムということで、リリース情報が解禁されてからずっと期待に胸を弾ませていた。そんな中、ミギワさんのフェイスブックでアルバムの表紙が公開された。階段に座って、何かを見つめながら微笑む横顔。それはアルバムのタイトルでもある「Promised Land ?約束の地?」を見つめているのだろうか。
このアルバムの制作は、忘れもしない昨年三月の東日本大震災の前から始まっていたという。だが、なかなか良い曲が生まれずにいた。そんな矢先、日本全土が大災害に揺るがされる。彼女も関東地方在住で被害者の一人なのだが、奇しくも災害後から次々と曲が生まれたそうだ。日本中が危機に立たされ、日常を奪われ、愛するものを失うという希望の見えないそんな状況だったからこそ、ミギワさんは自身の歌と詩を通して何かができると確信したのだろう。一曲目から最後の曲まで一環しているのは、そよ風が吹いて来るような心地よいアコースティックサウンドと透き通る声だ。一曲目の「子犬のように」はいかにもミギワさんらしい可愛いタイトルで、ギターとバイオリン、そしてピアノの調和、それを支えるベースとパーカッションが魅力的な曲だ。続いて「虹」。軽快なサウンドが耳に飛び込んでくる。詩の世界はとても深く、先の見えない苦しみに光を照らしてくれるものだ。「悔いた心」「キャンディソング」は前作「親愛なる神様へ」を彷彿とさせるミギワさん流のワーシップソングだ。その真実な歌詞に胸を打たれる。そして最後の三曲、「愛するきみに」「Promised Land」「この世界を創られた神様は」は何よりも復興地に届けたい応援ソングである。歌詞にあるように、僕たち一人ひとりが生かされている恵みに感謝しながら、神様が用意してくださったその「約束の地」に心を向けていきたい。僕たちを愛してやまない神様は、僕たちの目の涙をぬぐい去り、その悲しみを取り去ってくださるのだから。