CD Review ◆ CD評 アンドレ・クラウチ
ピアノコウジ
Rhythm & Voice of Praise キーボード・プレイヤー&サウンド・プロデューサー
ブラック・ゴスペル、CCMの立役者 アンドレ・クラウチ
ブラックゴスペル界でも認められCCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック・シーン)を確立、活性化に多いに貢献したアンドレ・クラウチの1975年までの名曲を収めたベスト盤。そして’75年作「Take Me Back」’78年作「This Is Another Day」’79年作「I’ll Be Thinking Of You」のアンドレ黄金期三作をワンパッケージに収めたお買い得盤『Mega 3 Collection』の2作品がライフ・ミュージックより発売されました。これは実にすごいことです!アンドレ・クラウチは1942年L.A.の生まれで、父が牧師を務める教会で音楽の基礎を築きました。彼の注目すべき点は、黒人でありながら、 白人にも支持されたということです。ひいおじいさんが、ユダヤ系の白人だったということも関係しているのでしょうか、サウンドはポップ性に富み、また甘いトーンのバリトンボイスが、シャウト「命」のブラックゴスペルの中でひとつのスタイルを作り上げたのです。
しかし一番の魅力はソング・ライターとしての素晴らしさでしょう! リビングプレイズでも「聖なる主の御名」「わが感謝の贈物」「王の王に会う日は近い」などたくさんの楽曲が取り上げられています。彼の作り出すメロディはシンプルで親しみやすく、後のソングライターたちに多大なる影響を及ぼしました。
1997年には「トリビュート・ザ・アンドレ・クラウチ」が出され、ブラック・ゴスペル、CCMのスター達が彼の曲をとりあげ、グラミー賞を受賞しましたが、今だ彼の曲が多くの人たちに支持されていることがわかると思います。
アンドレこそ、ブラック・ゴスペル、CCMの両方で評価された唯一の人物です。黒人でありながらブラック・ゴスペルという枠に捕われず、クオリティの高いポップセンス溢れる音楽を追求しているアンドレ。
近年、世はブラック・ゴスペル・ブームと言われていますが、今こそアンドレのようなスタイルが教会の賛美に求めれているのではないでしょうか?