CD Review ◆ CD評 傷ついた優し人
平山丈夫
水郷めぐみ教会スタッフ
小羊保育園 園長補佐
「優しい人」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべますか。
私は歌手のサムエルこそが、その一人だと思っています。なぜなら、本当の「優しい人」とは、字のごとく「人」の「憂い」が分かる人、誰にも言えないつらさが、失敗も涙も、傷つく人の痛みが分かる人だと思うからです。実は、サムエル自身が、日常の営みの中で、その心に憂いを感じ、どうしようもない傷と痛みを経験し、人知れず涙を流しているから。「微笑みの裏には 誰もが本当は葛藤するのだろう だから不安なんだよ だから泣いちゃうんだよ」(「INVISIBLE」より)
それを経験した人でなければ知り得ない世界がある。そして、そこから立ち上がった人だけが伝えることのできる言葉があるのです。彼の歌声は、私たち一人ひとりに、悲しみや失望で終わることのない優しい希望を感じさせてくれます。サムエルは、様々な響きを立てる十二曲のメッセージを通して、あなたに寄り添い、かけがえのないことを歌い、語ろうとしています。もし立ち止まっているならその場所で、走り続けているならそれでもいい、この優しさの音色に身を任せて欲しいのです。きっと生まれてくる希望は、あなたのその傷を覆い、あなたを包み込みながら、進むべき道へそっと背を押してくれるはずです。
私は思うのです。サムエルとの出会いは、あなたの人生のかけがえのない宝になるかもしれないと。
一度だけの人生だからこそ、出会ってほしい歌が、今ここにあります。聴いて欲しいのです。彼が「あなた」に何を伝えようとしているのかを。あなたは一人じゃない、あなたの手は離されていない、あなたは愛されているんだ、ありのままでいい、天に目を向けて生きていこうと。
私は確信します。それを知った道の先には、あなたの心を授け、心を預けることのできる存在が、そして決して揺らぐことのない「新しい世界」があるということを。
十年間書きためたという、まるでベストアルバム。優し人の歌う、あなたへのメッセージを心を込めて紹介します。