CD Review ◆ CD評 CD「輝く日を仰ぐとき」

CD「輝く日を仰ぐとき」
倉知 契
大和カルバリーチャペル 副牧師

新しい声の到着

 ベー・チェチョルさんを乗せた車が到着した。スーパーゲストを迎える心備えで入り口に立っていたが、目の前に現れたのは、静寂に包まれた方だった。

 彼はこの礼拝堂で、新しい人生のスタートを切った。そもそも彼がいま歌っていること自体が、驚天動地の奇跡と言える。人は生まれてのち、声変わりすることがあっても、結局は同じ声をもって生きてゆく。

 歌い手にとっては天賦の才能も実力のひとつだが、「二つ目の声」を授かった人など歴史上いなかった。いのちが一つであるように、声もまたひとつ。

 しかし、常識は覆された。その日に到着した彼は、二つ目の声を持つという。それは一つ目を失ったことを意味する。かつて「アジアのオペラ史上最高のテノール」と言われたが、甲状腺癌のために、声帯を動かす神経と横隔膜のそれを切断。夢という名の将来と、成功という名の実績、人生そのものが切断された。

 その彼に、復活という名の「新しい声」が授けられたのだ。そしていま、この声でしか歌い上げることのできない賛美歌を歌った。

 「わがたま いざたたえよ、大いなる み神を」

 礼拝堂にその新しい声が響き渡ったとき、私たちは見た、静寂の中におられるお方、真の神を……。大和カルバリーチャペルでなされた復活コンサート。溢れる会衆が、涙と感動で祈った祈りは、数日後のレコーディングにつながり、今、こうして私たちのもとにアルバムとなって到着した。

 だから、これを手にした人は、神の奇跡に触れる。これを聴いた人は、神の偉大さに触れる。どんな病も絶望も乗り越えることができる。その新しい声を聴くなら、神の復活をその身をもって体験できる。

 このCDを手にする日、目の前に現れる「大いなるみ神」をお迎えする心備えをしておきたい。