CD Review ◆ CD評 CD「In Heaven」
荒井恵理也
hi-b.a.(高校生聖書伝道協会)代表スタッフ
時が止まる
二人が歌うと、映画に出てくるワンシーンかのような光景が目の前で起こります。あまりにも澄んだ歌声に、聴く人たちは感性を刺激されずにはいられなくなり、体が硬直したように、静寂の中で、その歌声に聴き入ってしまうのです。まさに時が止まったように。二人の歌声を聴いて、もう一度聴きたい、何度でも聴きたいという衝動を抑えられなくなる経験をした人は少なくないでしょう。
しかし当然のことながら、歌声以上に聴く者の心をつかむのは歌の歌詞です。この歌詞は、在日として育った二人が、二つの国籍の中で揺れ動き、葛藤しながら歩んできた結果たどり着いた、いわば信仰告白です。
このような歌詞は、なぜ生きているのかという人間本来の問いに答えを見いだせない多くの現代人が、必死に探しても見いだせない答えに導いていくかもしれません。そしてそのような中で傷ついている多くの人々に必ずや慰めとなり救いとなることでしょう。
リナさんカナさんはhi-b.a.のOBで、高校時代は大勢のクラスメートに伝道していました。歌唱力は当時からずば抜けていました。
二人の歌声を聴くたびに思うことは、ルステラで神々のように扱われた時に衣を引き裂いて抵抗したパウロとバルナバ同様、自分たちがアイドルのように祭り上げられることを望んでいない二人だからこそ、神さまが特別なGiftとしての歌声を二人に下さったのだろうということです。
そんな二人は韓国と日本という二つの国と、そこに住む人々のために歌っていると聞きます。韓国と日本は複雑な歴史を辿ってきた国であり、それゆえに苦しんできた二人です。だからこそ、二つの国の架け橋となり、それぞれの国の人たちが愛し合い赦し合うこと、そして韓国と日本の人々がキリストの愛と結び合わされていくことが二人の夢なのでしょう。
私は、二人が韓国と日本の全国民に福音を提示し、やがては全世界にまで出て行き、神さまのご臨在を指し示すシンガーとなっていくことを願ってやみません。