CD Review ◆ CD評 CD『優しさのとびら-心のふるさと2』
森口洋子
大阪堺市 チャペル・こひつじ会員
森 祐理 後援会 関西メロディ会会長
生きる意欲がわいてくる 天の故郷への希望
耳に慣れ、歌い慣れた曲の数々、輝きの深い粒ぞろいの真珠のよう。「青い目の人形」、「椰子の実」、「七里ヶ浜の哀歌」、「七つの子」、「故郷」など古く、中にはおよそ100年も前に作られた曲も入っているが、新しく聞こえるのは何故だろう。
それは、少し速いめのテンポとアレンジの新鮮さから来ていると思われる。耳に心地よく、心に優しく入ってくる。
祐理さんの持ち味である、透明度の高い声質、無理のないまっすぐな発声は素晴らしい。それぞれの歌の持つメッセージを最大限に伝えようとする彼女の思いが伝わってくる。彼女の歌は誰にでも分かりやすく、本当に胎児から100歳の人にまで伝わるのである。そのメッセージとは、平和を願う祈りであったり、小さき者への愛であったりするのだが、究極には、天の故郷への希望であるように思われる。
歌は神から人へのビッグギフト、時に人の人生を変え、生きる意欲を与えてくれる。祐理さんが、阪神淡路大震災で愛弟の渉さんを亡くされ、それでも被災者のお役に立ちたいと願って、ビール箱の上で歌い続けた話は良く知られている。彼女のコンサートの中でよく話される話がある。被災したおばあさんが「あんたの歌聴いていたら、おにぎり食べてみようかと言う気になったわ。」彼女は言う、「山のような救援物資があっても、人は生きる意欲がなければおにぎりに手を伸ばすことが出来ないのです」と。
私は、祐理さんの歌活動の一貫したテーマは、『闇から光へ』だと思っている。人生は何と苦難に満ちていることだろうか。イエス・キリストも、十字架の上でもだえ苦しみ死んでいった。だが復活された。闇の向こうには必ず復活の希望が待っているはずだ。12曲目のスペシャルトラック「優しさのとびら」は、祐理さんでなくては書けない詩である。重い内容ではあるが、岩本正樹氏のメロディが新しい息吹を感じさせてくれる。
このCDを通して是非あなたも優しさのとびらを開き、天の故郷への希望を見出していただきたい。