CD Review ◆ CD評 CD『聴く聖書-新約聖書-』
大和田 広美
ゴスペルシンガー、大和田ミニストリー代表
『聴くこと』という恵み
ひどい風邪を引いたある日のことだった。あまりのだるさに何もすることができないような日だった。寝ているだけだし、みことばも読みたいけれども、とてもそんな力が出ない。ああ、だれかが聖書を読んでくれたら……。その時からだったと思う。みことばを「聴く」という祝福が必要だと思っていた。病の中で、力が出ない状況の中で戦っているだれかに、そんな祝福を届けたいと願うようになった。テレビをなんとなく見るように、何かをなんとなく聞いている私。そんな生活の中に「みことばを聴く」ことができたら……軽い気持ちもあった。上記のような経験から、病気の方々のためにみことばが聴けるようになったらいいなあという願いもあった。そして私は何度か自分自身で聖書を朗読し、録音して見たりもした。「聴く聖書」があったらなあ。求めていたことだったのだ。
「聴く聖書」に出会った今、「聴く」ことの恵み~それは私の力がない時も主が注いでくださる愛のように感じられる~と同時に、「みことばを求める渇き」を体験させていただいた。主からただ注がれる恵みを受けて、それに応答していきたいと願う霊の渇きのように、みことばを読みたくなるのである。語りかけられる主の言葉を聴きながら、みことばを慕い求めて主体的に読んでいく。そうか。受けるだけではない、求めていく主との交わりが、私たちには開かれているのだ。
「聴く聖書」を聴きながら、「聖書」を読む。主のみことばに取り囲まれて、主の息遣いに触れる。そんなデボーションが私たちに開かれていくのかもしれない。そんな期待を感じている。
主よ、あなたのみことばを聴くことのできる恵みを感謝します。また、あなたのみことばを読むことができることを感謝します。私たちの耳が、私たちの心が、あなたのみことばに満たされますように。そして、私たちがそのみことばに生かされて、愛を実現するものとなりますように。
(著者は麻疹による失明を乗りこえ、現在各地でコンサート活動を行なっています。)