DVD 試写室◆ DVD評 「WOW GOSPEL 2010」
大橋由享
友愛グループ イエス・キリスト ファミリー教会牧師
コアなファンにも、門外漢にも、とにかくお勧め!
WOW”は、ブラック・ゴスペルのヒット曲を集めたシリーズ。今回紹介するのは、その2010年版である。このDVDは、ドニー・マクラーキン、イスラエル・ホートンなど、トップアーティストによる、12曲が収録されているオムニバスだ。ゴスペルファンにとっては、まさに卒倒ものの、超豪華ラインナップなのだろう。(申し訳ありません。私はまったくの門外漢なので、ドニー・マクラーキンぐらいしか知りませんでした…)やはり、ライブ映像なのがよい。圧倒的な歌唱力はもちろんのこと、シンガーの豊かな表情、額から流れ落ちる汗、身体全体を使ったシャウトは、まさにブラック・ゴスペル! 圧倒的な体格とハーモニーを誇るクワイアも、一見の価値あり。
また、観客席のようすが挟み込まれているのもよい。立ち上がって、身体を揺すりながら、共に歌う聴衆。天を仰いで、神をほめたたえている人々のアップ・・・。ゴスペルは、彼らの信仰そのものなのだ。
ライブ映像の他に、3本のコンセプトビデオが収録されているが、個人的には、“Just Wanna Say”が、ドラマ仕立てで面白かった。こんな感じである。
舞台は中古楽器店。2人の少年が入ってきてキーボードをいじるが、音が出ない。クレームをつける2人に、イスラエル・ホートン演じる店主が、「どれ、貸してごらん」と、そのキーボードを弾き始めるのだ。
そのご機嫌なサウンドを聞きつけて、街行く人がウインドウ越しにのぞき込み、リズムを取り始める。そして、いつしか、色とりどりの服を着た人たちが、路上で曲に合わせて踊り出すのだ。そして、曲が終わった途端、まるで何事もなかったように歩き始める……。
映画ファンなら、すぐにピンとくるだろう。そう、『ブルース・ブラザーズ』のワンシーンの再現だ。味な演出である。ちなみに、映画では、中古楽器店の店主を、今は亡きレイ・チャールズが演じていた。
このDVD、コアなゴスペルファンはもちろんのこと、私のような門外漢にもお勧め。文句なしに楽しいし、ゴスペル入門編ともなるだろう。